こんな疑問をお持ちではありませんか?
この記事では下の内容を解説します。
- 三角筋への筋肉注射の手技
- 筋肉注射の目的
- 筋肉注射の痛みを緩和する2つのコツ
この記事を読めば明日からの筋肉注射では患者に「痛くない」と言われる看護師になれますよ。
それでは解説していきますね。
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- 三角筋への筋肉注射の準備
- 6Rを基本に患者確認と注射の目的や方法を伝える
- 筋肉注射の適切な体位にする
- 肩の筋肉注射の穿刺部位を確認~三角筋は肩峰から3横指下~
- 穿刺部位を中心にして消毒する
- 穿刺部位の周りをつまみ
- 注射器を鉛筆握りで持つ
- 刺入角度45度~90度で穿刺する
- 注射針の2/3程を穿刺して患者に痺れや激しい疼痛がないか確認
- 注射器(シリンジ)を引き、逆血がないか確認する
- 薬液をゆっくり注入する
- 抜針して止血と揉む~どのようにどのくらい揉むのかのコツ~
- 筋肉注射を終了し患者の経過観察
- 筋肉注射の目的
- 筋肉注射の禁忌、注意点
- 筋肉注射の痛みを緩和する2つのコツ!
- 【まとめ】三角筋への注射のほうがお尻の筋肉注射より難易度高め
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三角筋への筋肉注射の準備
筋肉注射に必要な物品を準備しましょう。何の手技でもまず準備をしっかり行うことが成功への道になりますよ。
筋肉注射の必要物品
- 指示書
- 薬液
- 注射器(シリンジ)
- 注射針(21~23GのRB針)
- アルコール綿
- 手袋
- 針捨てバイオボックス
不足物品がないか確認して、不安ならアルコール綿や手袋は多めにもっていくとなくて慌てることはないでしょう。
筋肉注射の針は21~23GでRB
筋肉注射の針は、21~23G(ゲージ)のRB(regular bevel)の針を使用します。
主には、22G(ゲージ)のRBを使われることが多いです。
刃面の角度12度と浅いRBが鋭いので疼痛が少なく筋肉注射を行うことができます。下の図にまとめたので参考にしてください。刃面の角度14度のSBでも筋肉注射を行うこともありますので状況に合わせて使い分けましょう。
これらの針が使われる理由は、まず注射法によって使う針が決められていること。
そして何より患者の疼痛を少なくすることと、目的の筋肉へ確実に注射するために、使う針が決められています。
筋肉注射で使われる針は以下の表にまとめておきます。
G(ゲージ) | 外径(mm) | 色 |
21G | 0.8mm | 緑 |
22G | 0.7mm | 黒 |
23G | 0.6mm | 青 |
6Rを基本に患者確認と注射の目的や方法を伝える
必要物品を準備して薬液をシリンジ内に用意できたら患者さんの元へいって6Rを基本に、患者確認を行いましょう。注射の目的、方法、副作用についてもお伝えできればよいですね。
筋肉注射の適切な体位にする
患者に肘を曲げて手を腰に当てる体位を取ってもらいます。
なぜ肩(三角筋)へ筋肉注射で腰に手を置くのか?
三角筋への筋肉注射で腰に手を置く理由は、腰に手をあってて肘を曲げることで三角筋が弛緩して薬液が浸透しやすくなるからです。
逆に筋肉が緊張していると薬液が浸透しにくいうえに、穿刺もしにくくなります。
筋肉注射で腰に手を置く向きは?
筋肉注射で腰に手を置く向きは、三角筋が弛緩していればどちらでもいいです。
親指が腹側に向いても背中側に向いても三角筋が弛緩していればOKです。
逆に手や肩に力が入っている場合には筋肉注射での痛みが強くなります。
筋肉に触れたときに筋肉が緊張している患者には息を吐いてもらい緊張をほぐしてあげましょう。
肩の筋肉注射の穿刺部位を確認~三角筋は肩峰から3横指下~
患者に体位をとってもらったら、次に筋肉注射の穿刺部位を決定します。
三角筋(肩)への筋肉注射の穿刺部位は、肩の肩峰から三横指下で、やや患者の正面側にします。三角筋の中央部分か正面側です。
この場所は、筋肉が厚く密集しており、神経や血管が走行、分布していない部位です。指先で触れたときに骨が触れないかも重要です。
またやや患者の正面側にするのは、腋窩神経や橈骨神経が患者の背面側から走行、分布しているからです。
- 穿刺部位は、肩峰から3横指下で三角筋の中央部から正面側部分
- 筋肉が厚く、神経や血管が走行、分布していない部位
- 指で触れたときに骨が触れない場所
- 三角筋が緊張している場合には深呼吸などで弛緩させてもらう
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もし、前回右肩に筋肉注射をしているのであれば、左肩へ筋肉注射を行います。同じ場所に筋肉注射をすることは避けましょう。
なぜ筋肉注射は同じ場所に続けて刺したらだめなのか?
筋肉注射を繰り返し同じ場所に行うと、筋肉は硬結や炎症、組織壊死を起こす可能性があります。
患者にどこに筋肉注射を行ったのかを確認して、同じ場所への筋肉注射を避けましょう。
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穿刺部位を中心にして消毒する
穿刺部位が決定したら、穿刺部位をアルコール消毒します。穿刺部位の中央から外側に向かって円を描くように消毒します。
消毒後はしっかり乾燥させましょう。
穿刺部位の周りをつまみ
アルコール消毒し乾燥させている間に、手袋を装着しましょう。隙間時間の活用ですね。
利き腕と逆の手で皮膚から三角筋の筋層を大きくつまみます。
このときに筋層の厚さを確認しましょう。その時に皮下脂肪の厚さも確認します。
つまむと皮下注射になる場合もあるため、最近は筋肉注射の場合ではつままずに伸展させて注射する方法もあります。
要はなぜつまんではいけないのかをよく理解して使いましょう。
皮下脂肪が多い人の皮膚をつまんで筋肉注射をすると、皮下注射になる恐れがある場合は伸展して筋肉注射をして、逆に皮下脂肪が薄く伸展すると深く刺してしまう恐れがあるのなら筋肉を大きくつまんで筋肉注射をするという使い分けが必要です。
注射器を鉛筆握りで持つ
利き腕で注射器を鉛筆握りで持ちます。
このとき注射針の刃面は上に向くように持ちましょう。刃面を上にむけると針の挿入がしやすくなり痛みの緩和になります。
この握り方は臀部への筋肉注射でも同じですね。
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刺入角度45度~90度で穿刺する
先ほど確認した皮下脂肪や筋層の厚さを参考にしながら刺入角度45度~90度で穿刺します。
- 皮下脂肪、筋肉が薄い場合(痩せている場合)には45度近くで刺入。
- 皮下脂肪、筋肉が厚い場合(太っている場合)には90度近くで刺入。
筋肉注射の注射器が安定しないときはどうするのか?
筋肉注射のときに注射器が安定しないときには、患者の皮膚に小指を先に置いて安定させましょう。消毒したところに触れないように注意が必要ですよ。
注射針の2/3程を穿刺して患者に痺れや激しい疼痛がないか確認
穿刺する長さは、注射針の2/3程の長さ(2㎝)です。
穿刺が浅く皮下注射になってしまうと、潰瘍や組織壊死を起こすリスクがあります。穿刺したときに痺れや激しい疼痛、異常があればすぐに針を抜きましょう(抜針)。
注射器(シリンジ)を引き、逆血がないか確認する
注射器(シリンジ)の内筒を引いて逆血がないかを確認します。
逆血がある場合には、血管の中に入っているということですので、注射器を少し引いて再度逆血がないかを確認しましょう。
もしくは、逆血がある場合には、一旦注射器を抜いて別の場所で再度筋肉注射を行うとよいでしょう。
薬液をゆっくり注入する
逆血が確認されず、患者がしびれや激しい痛みの訴えがなければ、薬液をゆっくりと注入してきます。
ゆっくりと薬液を注入することで、薬液がゆっくりと広がり患者の疼痛が少なくなります。
逆に早く入れすぎると筋肉の炎症が強くでたり潰瘍ができたりするので注意しましょう。
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筋肉注射の薬液の吸収される速度は?
薬液が体の中へ吸収される速度は以下のような関係があります。
静脈内注射>筋肉注射>皮下注射
薬液の効果がすぐに表れるのが静脈内注射で、筋肉注射は皮下注射の2倍ほどの速度で吸収されます。効果を得たい速度や、静脈内注射、皮下注射をできない薬液は筋肉注射が選択されます。
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抜針して止血と揉む~どのようにどのくらい揉むのかのコツ~
穿刺部位にアルコール綿を添えて素早く抜針します。
抜針後はアルコール綿で止血しながら、注入した部位を中心に円を描くように1分ほど軽く揉みましょう。
筋肉注射を行う薬剤によっては、注入後に揉むこと(マッサージ)をしてはいけない薬剤もあるため、事前に確認してから筋肉注射を行いましょう。
軽くマッサージができたら絆創膏を貼り手技を終了します。
なぜ筋肉注射は揉む(マッサージ)必要があるのか
筋肉注射後に軽くもみマッサージが必要なのは、薬液の浸透・吸収を促して、筋肉の硬結や疼痛を予防するためです。
揉まないで置くと薬液が注入した場所に停滞して筋拘縮や痛みが強くできるので注意しましょう。
筋肉注射を終了し患者の経過観察
患者さんの衣服を整えて、体調不良や副作用についてお伝えてしましょう。
もし異常があればすぐに呼べるようにNsコールの説明も忘れずに。
筋肉注射の目的
筋肉注射は、血管内や皮下内に投与できない油性、混濁性、刺激性のある薬剤を投与するために行われます。
ほとんどの予防接種は皮下注射で行われますが、インフルエンザワクチンなどの一部の予防接種は筋肉注射でおこなわれます。
また、せん妄やや躁状態によって、幻覚や幻聴などの病的体験が強く、興奮や攻撃性がある患者におこわれるセレネースも筋肉注射で行われるケースがあります。
筋肉注射の禁忌、注意点
前提として、筋肉注射は、血小板減少症や血友病などの出血傾向のある患者へ実施は禁忌とされています。
抗凝固剤を使用している患者も同様に出血傾向になる場合があるため、筋肉注射の指示が出た際には主治医への確認をわすれずに行いましょう。
また、筋肉の発達が未成熟な小児や筋委縮がある高齢者への筋肉注射も注意が必要です。筋肉への薬剤投与によって、筋拘縮や運動障害などが起こる可能性があるためです。
お薬手帳や情報提供書も必ず読み込みましょう。
筋肉注射の痛みを緩和する2つのコツ!
筋肉注射の痛みは必ずあるものですが、その痛みを軽減するコツがあります。
それは
- 注射前にリラックスしてもらうこと
- 筋肉注射後にしっかりと揉むこと(マッサージ)
注射前にリラックスしてもらうこと
筋肉注射は筋肉を針を直接いれるため必ず組織を損傷させます。つまり疼痛は必ず起こります。しかし、筋肉を弛緩させておけば筋肉への損傷を少なくすることができます。
患者にしっかりと筋肉を弛緩してもらうために、注射前にリラックスしてもらいましょう。深呼吸をして筋肉を弛緩させること、注射中も呼吸を止めずに呼吸してもらうこと、腰に手を当てて三角筋が弛緩できているか確認することで筋肉を弛緩させることができます。
筋肉注射後にしっかりと揉むこと(マッサージ)
注入後の揉みこみをしっかりと行うことで疼痛を軽減できます。
揉みこむ時間としては1~2分が目安です。
看護師側で行ってもいいですが、そこまで時間もとれないと思います。「強く揉まず円を描くようにゆっくり揉む」ことを患者にお伝えして自分でやってもらうとよいでしょう。
【まとめ】三角筋への注射のほうがお尻の筋肉注射より難易度高め
筋肉注射は、採血や点滴と同じように、穿刺部位さえ間違えなければ難しい手技でありません。
筋肉注射の穿刺部位は肩峰から三横指下のやや正面側がキーワードになりますので、しっかりと身につけておきましょう。
- Q1
- 転職したい?副業をしたい?
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