こういった疑問にお答えします。
結論、コミュニケーション技術の勉強がもっとも重要。
それに加えて、病気や薬の知識、行動制限の知識が大切になります。
この内容も含めて下の内容を解説していきます。
- 精神科看護師に転職するなら勉強しておくべきこと
- LEAPは必須のコミュニケーション技術
- その他勉強しておくべきこと
ここでの内容は必要最低限の知識なので勉強していないと危険かも。特に精神科ではコミュニケーション技術が重要になってきます。
もし、コミュニケーション技術を『傾聴』『共感』だけだと思っている人はぜひこの記事をご覧ください。
精神科看護師に転職なら勉強すべきこと4選
精神科看護師に転職なら勉強すべきことは下のとおり。
- 病気
- 薬
- コミュニケーション技術
- 行動制限
基本的なことなんですが、意外と
と思っていたら
と驚く看護師さんが多いのでまとめて解説します。
病気の基礎知識【統合失調症、双極性感情障害、発達障害がメーン】
精神科看護師に転職するなら、下の3つの病気は必須知識。
- 統合失調症
- 双極性感情障害
- 発達障害
いずれも、精神科なら特に出会う機会が多い疾患です。
特に統合失調症は幻覚、幻聴といった精神科特有の症状が見られるんで対応方法も含めて勉強しておきましょう。
参考統合失調症の看護!観察ポイント、アセスメント、看護目標とは
参考【困ってるNs必見】統合失調症の急性期看護、観察ポイントとアセスメント
参考統合失調症の慢性期看護【観察ポイントと実際の看護ケアやアセスメントを解説】
双極性感情障害も、躁状態というぶっとんだ状態で対応に困惑するので基礎知識は改めて勉強しておきましょう。
また、うつ状態のときの自殺リスクや傾聴の仕方も基本。
参考希死念慮と自殺企図のリスクがある患者にはTALKの看護技術【精神科転職なら必須】
発達障害は最近聞くようになったという看護師も多いのでは?
最近では早期介入ができるようになったため精神科に入院して来る患者が急増しています。
ADHDやボーダーといった発達障害の特徴の理解、対応方法は精神科にくるなら避けては通れませんね。
薬物療法【抗精神病薬と副作用は必須知識】
薬物療法の勉強も重要です。
なぜなら、精神科の主な治療は薬物療法だから。
具体的には、
- 統合失調症や精神症状に使う抗精神病薬
- 双極性感情障害に使う抗不安薬、気分安定薬
- 不急時対応の筋肉注射
などなど。
特にセレネース+アキネトンといった不穏時の筋肉注射は良く出くわすので手技の確認をしておきましょう。
参考【保存版】お尻への筋肉注射手技を解説【年100回臀部注射する看護師が解説】
参考三角筋への筋肉注射の手技とコツ【患者に痛くないと言われる看護師に】
また、下の副作用も聞きなれない言葉。
- アカシジア
- ジスキネジア
- ジストニア
このあたりの対応方法も確認しておくと安心ですね。
参考抗精神病薬の副作用と錐体外路症状を解説【アカシジア、ジストニア、ジスキネジアって何?】
参考【血中濃度が命】気分安定薬とは?【作用、副作用、看護の観察ポイントを解説】
コミュニケーション技術【傾聴、共感は必須技術】
コミュニケーション技術は看護師ならメーンで使う看護技術なので大切です。
看護学校、大学でも
- 傾聴
- 共感
が大切ということは勉強しているはずです。
ただ、一言に『傾聴』『共感』といってもできていない看護師が多いですよね。
傾聴と共感はセットで覚えておきましょう。後述する LEAP のところで詳しく解説しておきます。
行動制限【隔離と拘束】
行動制限は精神科ならではの処置。
精神症状や自傷他害で
- 隔離
- 拘束
対応となることも少なくありません。
行動制限を少なくしていこうという医療の流れはあるものの、ゼロにするのはなかなか難しいのが現状。
隔離、拘束の時の観察ポイントや看護は確認しておきましょう。
LEAP は必須のコミュニケーション技術
LEAPとは、コミュニケーション技法のひとつで精神科の看護師になるなら必ず抑えてほしい技術。
LEAPは、動機づけ面接法の要素を取り入れつつ、病識に乏しい患者さんと良好な信頼関係を築きつつ、必要な治療や支援に繋げることを目的に作られたコミュニケーション技術。
LEAPは下のとおり7つの技法で構成されています。(基本の4技法と補足する3つの技法で構成されてます。)
- Listen 傾聴
- Empathize 共感
- Agree 一致
- Partner 協力
- Delaying tool 遅らせツール
- Opinion 和らげツール
- Apologize まず謝っておく
傾聴や共感を活かしつつ、患者と看護師との意見を『一致』させつつ、『協力』を得るのがLEAP の技法です。
具体的に言えば、
拒薬している患者へ看護師は薬を飲んでもらいたい。しかし患者に病識がなく内服は拒否が強い。一方で患者は『なにかに狙われていて不安感が強く眠れないことがつらい』と感じている。
この状況下なら、
- 無理に内服を進めるのでなく、まず患者の話をよく聞く(傾聴)
- なにかに狙われているとゆっくり休めないこと、怖いこと、しんどいこと、眠れずにつらいこと、疲れていることを理解する(共感)
- その上で患者と看護師の意見をすり合わせていく。患者としては「なにかに狙われている感覚」をなくしたい、看護師としては「なにかに狙われている感覚」が内服でなくせることを説明する(一致)
- 結果的に内服したほうが良い未来が待っていることを共有できて内服してもらえる(協力)
上のストーリーはできすぎですが、LEAPは上のような使い方をします。
医療者の意見を押し付けず、患者と看護師とで意見を一致させて協力関係を結ぶ、信頼関係を築いていくことが大切なんです。
具体的な使い方は別の記事にまとめています。
その他勉強しておくべきこと
その他に勉強しておくべきことは下のとおり。
- 採血
- 点滴
- 血糖測定
- 徒手的拘束
- 精神科特有の創部処置
上の一覧は精神科の現場でよく使う看護技術。
急性期病棟に限らず、慢性期病棟でも必須の技術なんで確実に身に着けておいてくださいね。