こういった疑問にお答えします。
私も学生時代~保健師時代はなんとなくでコミュニケーションをしていました。
しかし、
そこで、この記事では下の内容を解説します。
- 精神科看護師の必須コミュニケーション技術のLEAPとは
- 現場での活かし方
- その他に精神科看護師が勉強すべきこと
この記事を読むのと読まないとでは、『明日からの患者とのコミュニケーションが変わってきます』。
つまり、読まない理由はないってところですね。
もし一般科でのコミュニケーションに困っている人もここでの知識を応用して自分なりのコミュニケーションができると看護師としてステップアップできますよ。
ちなみに、その他の看護師コミュニケーション技術を知りたい方は看護師ブロガーの黒@自由看護師ブログ@liberal_nurseが参考になります。
参考【学生・看護師必見】日常・臨床で使えるコミュニケーションスキル10選
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精神科看護師の必須コミュニケーション技術のLEAPとは
LEAPとは、
Listen-Empathizw-Agree-Partner(傾聴-共感-一致-協力)
の頭文字をとったもの。
精神科の患者を主な対象にして、病識に乏しい患者さんと良好な治療関係、信頼関係を構築し、必要な治療や支援につなげていくことを目的にしています。
ここまで聞くと、
と思うかもですね。
けど、LEAPってそんなに難しいものではなくて、この記事を読んでから家族や友達、上司との日常会話の中でも取り入れていけるものです。
ちなみに、具体的な使い方は下の7つの道具を使います。
- Listen(傾聴)
- Empathize(共感)
- Agree(一致)
- Partner(協力)
- Delaying tool(遅らせツール)
- Opinion(和らげルール、3A's)
- Apologize(謝る)
という方もいるかも。
もっともっと砕くと下のような感じ。
- Listen(傾聴)→患者の話を患者の言うとおりに聞く
- Empathize(共感)→患者の言動・気持ちに共感する
- Agree(一致)→「患者の不都合なことを解消したい気持ち」と「医療者の治療したい気持ち」を一致させる
- Partner(協力)→患者の不都合なことを解消するために治療に協力してもらう
- Delaying tool(遅らせツール)→「確信に迫る質問」「答えにくいこと」を遅らせる技術
- Opinion(和らげルール、3A's)→患者にApologize(まず謝っておく)Acknowledge(完璧ではないことを認める)Agree to disagree(意見を認め合う)
これをより詳しく解説していきます。
Listen(傾聴)
傾聴は基本中の基本。
ですが、これをできていない看護師も多いです。
と思っているあなたは看護師としてやばいかも。
ただ聞くのが傾聴ではないから。
答えは、傾聴の技法リフレクティブリスニング(Reflective Listening)を使うこと。
リフレクティブリスニング=『理解して返す傾聴』
看護の現場でも実際に多様する技術です。
というか自覚なく使っている人もいるのでは?
ただ、自覚するのとしないのとでは雲泥の差。
傾聴をするときには、まずリフレクティブリスニングを使ってみましょう。
なぜ使うと良いのか?
リフレクティブリスニングを使うと、相手に
- 『真剣に聞いてくれている』
- 『ちゃんと伝わっている』
- 『この人になら話してもいいかも』
と安心感や信頼感をもってもらいやすくなるから。
あなたが患者の話を聞いていないなら、NG看護師です。
- 相手に薬を飲んでもらう
- 注射をさせてもらう
- 採血をさせてもらいたい
なら、まず相手の話をしっかりと聞いて信頼関係を築くことが大切。
リフレクティブリスニングで大切なポイントは二点。
妄想や幻聴の内容を話しても、思い切ってそのまま聞くこと
妄想や幻聴をそのまま聞くと、
と思われるかもしませんね。
そこを思い切って聞いていきましょう。
実際、私も経験的に、幻聴や妄想内容を聞いていたけど悪化したように感じたことはありません。むしろ、患者がより信頼して話してくれるようになったのを感じたことが何度もあります。
その他のポイントは
- 相手の言葉でそのまま返す
- 尊重する
- 否定や意見を加えない
- 批判や皮肉も避ける
- 確認を入れる
などなどこの他にも傾聴のポイントはいくつかありますが、それは別記事にまとめていきます。
Empathize(共感)
共感もコミュニケーションの基本。
でも共感を戦略的にやっている人は少ないのでは?
共感は戦略的にしていくことが大切です。
なぜなら、狙ったところで共感すると、患者が「この人はわかってくれている」と信頼関係がより深まるからです。
具体的には患者が下のような感情を示したときに戦略的に共感しましょう。
- 不安感
- 欲求不満
- 恐怖感
- 孤立感
- 希望・要望
もっと具体的に言えば、
- 「黒の組織に狙われていて怖い。常に狙われているから寝れない」
- 「この鬱々とした気持ちが永遠につづくと思うと・・・死にたくなりますよ・・・」
- 「だれも私をわかってくれない・・・」
- 「薬を飲みたくない!だってどんどん脳みそが壊されてるみたいだし!」
などなど。こういった負の感情を患者が示したときに共感していきましょう。
ただ重要なことは『言葉をそのまま共感しないこと』。
- 黒の組織に狙われていたらたしかに怖いかもしれない
- 鬱々とした気持ちが続くと、将来に希望が持てないですよね・・・たくさんそのような患者をみてきたのでつらいですよね。
- まわりの人がみんな理解してくれないと感じるのは・・・つらいかもしれない。私もそんな状況なら辛い。
といった具合で、『もし』や『自分がそんな状況なら』といった言葉に置き換えるのが大切。
『あなたにはわからない!!』という言葉かえってくることもあるのでそのアタリは患者の状態を見ながら調整を。
こういった疑問は後述する遅らせツールが便利です。
Agree(一致)
傾聴や共感をしていくことで患者の情報や悩み、不安などが理解できてきます。
そして、何度が話をしているうちに、患者の意見や要望、こちらの要望や退院後の支援なども出てきます。
この段階で、患者と医療スタッフとの意見を一致させていく段階です。
なぜこの段階が必要なのかというと、単純に薬を飲んでもらいたいから「薬を飲んでください」といっても意見はとおりませんよね。
そこで下のような一致の段階を経ます。
患者の想い:幻聴や幻覚で「なにかに狙われている」とかんじていて辛い→狙われているのをなくしたい
医療スタッフの想い:狙われている感じをなんとかとりたい
このように患者の想いを、医療スタッフの意見と一致させていくのです。
一致させていくには共通の目標を作るのが大切。
狙われている感じをとるのに薬が有効かもしれません。薬は狙われている感じや、症状が収まってきたら徐々に減らす予定ですので飲んでもらえませんか?
私達としても狙われている感じをなんとかとりたいと思っています。一緒に狙われるという感覚をなくしていきませんか?
といった具合です。
これは一例で臨床でここまでうまくはいきませんが、考え方として取り入れていくと患者の対応が変わってきて驚きますよ。
私も4年やってきてLEAPを最近知ったんですが、効果をすぐに実感できましたよ!!
Partner(協力)
最後に患者に協力をあおぎます。
一致と協力は表裏一体なんで、どちらがどちらということはありません。上での例のように患者の不安や悩みを取り除きたいという目標を一致させて、薬物治療や退院後の支援の調整をしていくイメージです。
話し合いをするときに重要なポイントも下のようにまとめておきます。
ちなみにこれは、『2020年1月号精神看護』の特集より抜粋します。
- 体験を分かち合う
- その人が自覚している問題や症状だけについて話し合う
- その人が感じている治療の良い点、悪い点をまとめる
- 誤解があったら修正する
- その人が感じている良い点をよく聞いて返し、強調する
- 意見を認め合う
このあたりの詳しい内容は下の雑誌を読むとより理解が深まりますよ。
Delaying tool(遅らせツール)
患者さんと話していると、不意に無理なお願いやできないことを要求されたりしたことはありませんか?
そういったケースで使えるのが、遅らせツールです。
遅らせツールとは、下のようなもの。
無理なお願いや確信に迫る話題の返答を先送りにして、意見を伝えるよいタイミングを作り出すもの。
これだと抽象的なので具体的には下のような形。
例えば、「統合失調症ってもう治らないんでしょうか」と言っている患者さんに。
『今すぐにお答えすることが難しい話題ですね。この件は必ず主治医と話して回答するので、○○についてお話をしてもいいですか』
といった具合で『遅らせ』ます。
ポイントは下のとおり。
- 必ず後で答えると約束すること
- 後から答えることでよいか、許可(確認)すること
答えないと信頼関係が崩れますし、約束しないと信頼関係が築けません。
遅らせツールを使えば、「統合失調症ってもう治らないんでしょうか」と言っている患者さんに『統合失調症は完治が難しい病気です。』と論理的に説明して信頼関係を崩してしまう恐れを減らせますよね。
実際使ってみてわかるのですが、信頼関係ができていればある程度確信に迫るような話題を『遅らせツール』で先送りしても、関係が大きく崩れることはありません。あとは看護師間でカンファレンスや主治医と相談、場合によっては多職種でのカンファレンスをして答えていけばOKです。
Opinion(和らげルール、3A's)
和らげツールもコミュニケーションでは重要。
とはいえ、すでにコミュニケーションの中で無意識に使えている看護師もいますよね。
具体的には下の3つ。
- Apologize(まず謝っておく)
- Acknowledge(完璧ではないことを認める)
- Agree to disagree(意見を認め合う)
1つ目の謝るは後述するので割愛。
Acknowledgeは『完璧ではないことを認める』こと。
具体的には、
- 私の意見は間違っているかもしれないけど・・・
- 全部わかっているわけじゃないけど・・・
といった前置きをすること。
こちらが完璧ではないと伝えることで、患者に聞く姿勢をもってもらいやすくなります。
Agree to disagreeは『意見を認め合う』こと。
患者と看護師とで意見が違うことを認め合うことが重要。
特に精神科では、明らかに患者が違うことを言ってくることも多いですが、『あなたの意見は違う!!』といっても何も始まりません。
『私とあなたとは違う意見があるけれど・・・』と違うことを認め合いつつ、距離を詰めていくことが大切です。
Apologize(謝る)
最後にApologizeの『まず謝っておく』ことも重要。
これは言葉のままで、こちらが傾聴して共感した段階で一致や協力を仰ぐ場面で。
と一言謝ってから本題に入るといったかたち。
と患者さんに前置きをしておくこと。
こうすることで、一つハードルを下げた状態で意見や協力をあおぐことが可能です。
これって実は、心理学でいう『一貫性の法則』を使っています。
人は小さなYESを積み上げていくと、最後まで一貫した態度をとろうとします。
だから、まず謝って患者にYESをもらっておくことで、反発(No)を買いにくくなるわけです。
【まとめ】LEAPを使えば精神科看護のあらゆる場面に活きてくる
LEAPを使えば、精神科看護師としてスキルアップできる上に、あらゆる場面で応用できます。
まず傾聴と共感のパートをしっかりと理解して臨床で実践しましょう。
傾聴するときには、リフレクティブリスニングをうまく活用すること。
共感するときには、戦略的に共感すること。
一致や協力の際には遅らせツールや和らげツール、まず謝るを屈しして、患者に治療への方向へ協力してもらえるようにコミュニケーションしていきましょう。
今回学習内容を臨床で生かして成功した!!ということがあればぜひ、コメント欄か、TwitterのDMやリプでお知らせしてくださるとめちゃがんばれます。
そして、コミュニケーション手法を聞いて精神科に興味が湧いた人は下の記事を参考に精神科看護師への転職を検討してみてください。
参考【2020年版】精神科看護師への転職マニュアル【結論:ラクに看護できます】
ちなみに転職を自力でしようとしているあなたは危険ですよ。私も自力でしようとして足元を見られた給料で転職しそうだったのでぜひ自力でなく転職サイトを使って給料アップを目指してほしいです。
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その他に精神科看護師が勉強すべきこと
その他に精神科看護師が勉強すべきことは下のとおり。
- 病気の知識
- 薬の知識
- コミュニケーション技術
- 行動制限に関する知識
このあたりの詳しい内容は下の記事にまとめています。
参考精神科看護師へ転職で勉強すべきこと4選【結論:病気・薬・コミュ力・行動制限が重要】
また、精神科看護師になりたい人が転職するなら看護師転職サイトの利用は必要。まだ使ったことがない人は掛け持ち必須ですよ。
先程紹介した記事、看護師コミュニケーション技術を知りたい方は看護師ブロガーの黒@自由看護師ブログ@liberal_nurseが参考になります。
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