精神科看護

精神科看護師歴5年が臨床でよくみる14の症状【アセスメント&看護計画も解説】

精神科看護師歴5年が臨床でよくみる14の症状【アセスメント&看護計画も解説】

悩む看護師
精神科の看護って一般科と違ってコミュニケーション中心だけど具体的にどうしてるんだろう?
暴力とか暴言への対応がいまいちわからないなぁ?

と疑問に思ってはいませんか。

こんにちは、精神科看護師歴5年でスーパー救急で年間300人近い患者さんと関わっているハチです。

精神科ブロガーハチの紹介文

精神科の看護は、一般科に比べて、コミュニケーションによるものが多いので戸惑うことも多いでしょう。当の管理人も精神科に異動したばかりの頃は毎日混乱の連続でした。

今回はまず、精神科でよくある症状を解説し、各疾患や症状に合わせた看護を紹介しているページを紹介します。

 

 

あなたの一般科で鍛えた看護技術を活かして、即戦力になりませんか?

 

【2020年版】精神科看護師への転職マニュアル【結論:ラクに看護できます】

看護のお仕事

精神科でよくある精神症状ってどんなものがあるの?

ICUでの臨床経験がある人はICU症候群(せん妄)を体験したことがあるでしょうし、一般科であろうと手術前の不安感を訴える患者の対応をしたことのある方もいると思います。

精神科では、一般科でのせん妄や不安感と似てはいるけども、少し違う症状がみられます。一覧にすると以下のような14つの症状が、精神科でよくみられる精神症状です。

  1. 幻覚、妄想
  2. 興奮
  3. 暴力
  4. せん妄
  5. 躁状態
  6. 抑うつ
  7. 不安
  8. 不眠
  9. 無為、自閉
  10. 強迫
  11. 拒絶
  12. 水中毒
  13. 依存症・物質使用障害・アディクション(嗜癖)
  14. 希死念慮、自殺企図

少し長くなりますが、これらをよく知っていると精神科へのハードルが下がると思いますので順番に紹介させてください。

幻覚、妄想

幻覚、妄想

幻覚体験は、一般科にいるとなかなかお目にかからない症状かもしれません。

認知症の周辺症状やレビュー小体型認知症の症状で幻覚や幻聴が聞こえている患者、アルコールせん妄や肝性脳症などで見える幻覚などは経験があるでしょうか。

精神科では主に統合失調症や躁状態の患者などに以下のような幻覚体験があります。

幻覚体験の主な内容

  • 幻聴:現実には聞こえない声が聞こえる。頭の中で響いている。
  • 幻視:現実には存在しないものが見えるもの。人や動物や影が見えるなど。
  • 幻触:皮膚の上や中を虫がうごめいている、肩をたたかれるなどを感じる
  • 幻臭:実際の食べ物と別のにおいがする。腐った匂いやおならなどのにおいに感じる
  • 幻味:実際に食べたものの味がなかったり変な味に感じる

妄想とは、思考が障害されて、明らかに誤った思考・判断を修正することができず、本人はそれが現実のものと考えてしまう思考のことを指します。

 

妄想には、「自分は悪口を言われている」など被害的に思い込む被害妄想、「自分は王族の人間だ」と過大評価する誇大妄想、「誰かに監視されている」と思い込む注察妄想などに分類できます。

幻覚や妄想を肯定すると、幻覚や妄想を固定させてしまい、幻覚や妄想をより強固なものにしてしまうため、関わる際には注意が必要です。

 




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幻覚や妄想への対応は6つポイント

【保存版】幻覚・妄想の看護と6つの対応ポイント【結論:患者を否定も肯定しないで傾聴です】

悩む看護師
幻視とか幻聴に左右されている患者への対応方法がわからないなぁ。妄想に対してどういう反応をしたらいいんだろう。

と疑問に感じたことはありませんか。

幻覚や妄想に対しては、肯定はしてはいけないということは知っていても、間違った対応を無意識にしてしまっている看護師もいるかもしれません。その対応、患者の症状を悪化させるかもしれませんよ?

結論は患者の幻聴や妄想体験を否定も肯定もしないこと

幻覚や妄想の症状がある患者への看護や関わり方のポイントは下の6つ。

幻覚や妄想への6つ対応ポイント

  1. 否定も肯定もせずに傾聴する
  2. 深く追求せずに対応する
  3. 知的な論争をしない
  4. いつものことと軽視しない
  5. 冗談のようにからかったりしない
  6. 病的体験の不安や苦しさを受容する

順番に解説していきます。

否定も肯定もせずに傾聴する

患者が幻覚や妄想を訴えてきた際には、否定も肯定せずに傾聴すること大切

患者にとって幻覚や妄想は現実のものとしてとらえています。そのため否定すると自分はつらい、苦しい思いを理解してくれないと受け取られる可能性があります。

また、患者の幻覚や妄想を肯定してしまうと、患者は幻覚・妄想体験をしている世界を固定化してしまい、余計に幻覚や妄想を増強してしまう恐れがあります。

具体的な対応としては、「辛い思いをしているのですね」など患者感じている感情に共感的にかかわるようにしましょう。

深く追求せずに対応する

患者の幻覚や妄想に対して、傾聴することは重要ですが、「どのような幻聴か」「いつどこでどのような妄想があるのか」など深く追求して症状を聞いてはいけません

特に統合失調症の急性期などは否定しても全く意味がありませんし、追求すると余計病的症状が強まる恐れすらあります。

またうなずいて聞いているだけでも「幻聴は現実に聞こえるものなのだ。」と肯定的に捉えてしまう患者もいまっし、看護師が幻聴や妄想を肯定してしまうと、患者は幻覚・妄想体験をしている世界を固定化してしまい、余計に幻覚や妄想を悪化させてしまう可能性があります。

知的な論争をしない

幻覚や妄想に影響されての症状であるため、幻覚や妄想に対して知的論争をしてはいけません

患者にとっては幻覚や妄想は現実のものとして感じているため修正しようとしてもできない場合がほとんどです。

そのため、影が見えるという訴えに対して「ここには何もないでしょう。ほら私は触れられないよ」ということや、隣の部屋から幻聴が聞こえるという訴えに「隣の部屋は誰もいない。」などと説明をして説得してもあまり意味がありませんし、患者にとっては自分の気持ちを理解してもらえないという不信感が募っていきます。

幻聴の内容や妄想の内容にふれるのではなく患者の病的な症状が「どこから」来ているのかをアセスメントしながら関わりましょう。特に統合失調症が幻聴や妄想症状がよく出ますが、それ以外にも似た症状を呈する病気があるので学習しておくと頼りになりますね。

いつものことと軽視しない

家族や看護師からすると、本人の幻覚や妄想の訴えは日常茶飯事のため、また同じことを言っていると簡単にとらえてしまうことがあります。

しかし、患者本人は幻覚や妄想によって不安な気持ちや怖い気持ちがつのっているため、真摯に受け止めて対応することが求められます。

簡単に扱われたと患者が思うと、自傷行為や興奮などに発展することも少なくありません。

冗談のようにからかったりしない

患者の幻覚や妄想の訴えに対して茶化したり、冗談をいってごまかしたりしてはいけません

現実ではありえない体験(病的体験)は時として、常識を外れすぎている場合も。

しかし患者の体験は実際に体験しているというもののため、茶化したり、冗談を言ってからかったりするとイライラから興奮、自分を理解してもらえないという思いになり死にたくなったり、物にあたったりする恐れが高まります。

病的体験の不安や苦しさを受容する

患者本人の幻覚や妄想による病的体験は、実際に対象がないものを知覚するため、周りの人には理解してもらえないものです。

病的体験は不安で苦しいものです。患者の幻覚や妄想に対してどうこういうのではなく患者の不安や苦しさを受け止めて理解するように接することが大切です。

幻覚や妄想の内容を聞くのではなく、不安や恐怖などの患者の感情に寄り添うことがもっとも重要なことなのです。

基本的な事項が多く、いまさら何をいっているのだと感じることもあるでしょう。

しかし、実際に臨床の場面で幻覚や妄想に左右された患者の訴えを真摯に受け止めて患者の不安な気持ちや怖い気持ちに寄り添えていますか。

今一度自分の看護師としての対応を見改める機会になれば幸いです。


 

 

 

 

興奮

【対策必須】興奮や暴力への看護・対応方法【躁うつや統合失調症患者】

興奮とは、休息に感情が昂ぶり、感情や行動を抑えることができない状態を指します。精神医学では、このような興奮のことを精神運動興奮と呼びます。

精神運動興奮は、大きく3つに分けることができます。

  • 緊張病性興奮
  • 躁病性興奮
  • せん妄性興奮

 

緊張病性興奮は、幻覚や妄想といった病的支配に支配されたことによって不安感や恐怖感からくるものを指します。

 

躁病性興奮は、躁うつ病に見られる興奮のことを指します。

 

せん妄性興奮は、文字通り、せん妄からくる錯覚や意識障害から不安や緊張が高まることで起こる興奮のことを指します。

精神運動興奮は、いずれの3つでも、考えがまとまらなくなり、感情が昂ぶり、自分では抑えられない状況です。そのため、衝動的な行動や暴力、暴言に発展するケースも少なくありません。また、自分自身や他人を傷つける恐れもあります。

例えば、暴言をはきながらうろうろと落ち着きなく動き回ったり(暴言、多動)病棟の机やいすを壊したり(破壊行為)、医療スタッフや他患者の言動の一つ一つに反応を示したり(反抗的)といった症状がみられます。

 




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興奮への看護・対応方法とは

ナースステーションで記録を書いていると突然怒責が聞こえ、患者が怒っていて対応に困った経験はありませんか。
精神科では日常茶飯事ですが、一般科にいるとなかなか興奮している患者への対応をする機会は少ないかもしれません。(むしろクレームをいってくる家族対応のほうが多いかもしれません)

興奮の対応方法や看護は下のようにまとめられます。

  • 興奮後の初動対応
  • 興奮した理由のアセスメント
  • 興奮理由の除去と環境調整

順番に解説します。

初動対応

有事のときには初動対応が重要になります。それは興奮している患者への対応でも同じことです。興奮している患者と出くわした場合には、まず一人で対応せずに応援を呼び複数のスタッフで対応しましょう。その後、患者の周りから危険物をどかして、患者自身やほかの患者、医療スタッフに危害が加わらないように調整します。すぐに取り押さえるのではなく、ある程度自由にふるまっていただいて構いません。興奮しているときには周りが見えなくなっている場合が多いため、まず穏やかな声・態度で患者の話を聞くことから始めます。意外とこれだけで興奮が治まることもあります。他患とのトラブルであれば、患者同士で解決するのではなく、患者別で看護師が話を聞きます。その後お互いに興奮が治まったタイミングで謝罪の機会を作ったり、場合によっては部屋の調整や転棟の調整を行います。

  • 一人で対応せず応援を呼ぶ
  • 患者の周りから危険物を除去し、自由に振舞ってもらう
  • 穏やかな声・態度で患者の話を聞く

初動後の看護・対応方法

初動対応後には、患者がなぜ興奮したのか原因を観察する必要があります。そして、興奮を助長させないこと、セルフケア能力の不足があれば調整すること、感情の表出を助けることが重要です。

  • なぜ興奮したのか原因を観察する
  • 興奮を助長させないこと
  • セルフケア能力の不足を調整する
  • 感情の表出を助けること

順番に解説します。

なぜ興奮したのか原因を観察する

患者がどのような原因で興奮したかを精査する必要があります。まず、他の患者とのトラブル、家族との関係性での興奮であれば、双方をいったん遠ざけて、双方から聞き取りを行いましょう。
興奮している患者に意識障害がある場合には、脳CTや脳はなどの緊急検査をする必要があります。脳血管障害などの病気を否定するためです。
また、アルコール依存症による離脱症状、薬物による離脱症状の場合には、隔離室への誘導や精神科へのコンサルタントをしなくてはいけません。
そもそも精神科で、統合失調症、気分障害(躁うつ病)などによる興奮である場合には患者の話をよく聞くことが重要になります。

患者の言動、他の人との交流、意欲や活動量などを観察して、総合的に患者の興奮の原因を観察することが看護師には求められます。

刺激を除去して患者理解に努める

ベースに統合失調症や気分障害がある場合には、患者が自分自身を過大評価している場合や幻覚幻聴に左右されての行動の可能性があります。幻覚による不安感や些細なことでイライラしたり腹立たしくなりやすい状態にあります。

看護師は、患者に対して批判的になったり説得や議論をしようとしたりしていけません。火に油を注ぐように患者の興奮はより一層強まってしまいます。
看護師は、興奮を助長させないように言葉を選びながら話し、他患との対人関係や環境による刺激を除去し、なぜ患者が興奮しているのか理解することが大切です。

患者が幻覚・妄想などの陽性症状からくる興奮であれば、病的体験から身を守ろうとして興奮している場合もあります。そのような場合には、看護師は患者への距離を急につめず、危険物を除去して保護的に見守り、恐怖や不安が増長しないよう、安心安全であることを患者に言語的、非言語的に伝えることが大切です。

安全で安心な環境を作る

興奮が著しい場合には、患者を個室へ誘導し、刺激がない状況で聞き取りを行います。患者に安全で安心な環境であることを伝え、なぜ興奮したのか聞き取りやすいようにします。
また、看護師は、患者から攻撃的な言葉などを浴びせられ、怒りや恐怖といった感情がわいてくると思います。しかし、看護師は誠実に患者の話を聞く態度が求められます。腕を滑の前で組んだり、後ろで手を組んだりすると防衛的、拒否的、威圧的ととらえられる可能性もありますので、開放的な姿勢をとり患者に緊張感を与えないように接する必要があります。

患者が座って話ができるのであれば、座る位置も意識しましょう。
患者と看護師の座る位置が並列か90度になるように座るとよいかもしれません。隣り合って座る並列座りは、患者の立場で興奮した理由や感情を共有しようということが伝わります。90度で」座った場合には視線を合わせることも、視線を外すこともでき、患者の緊張を和らげることができます。対面での会話でもよいですが、患者の視線が逃げる場所がなくなりかえって話しにくくなる場合もあります。

セルフケア能力の不足を調整する

興奮しやすい患者は、セルケア能力が不足している場合が多にしてあります。食事、排泄、清潔行為、睡眠、対人関係、休息などといったセルフケア行動を看護師が見守り調整することも重要です。睡眠不足や不潔な状況では興奮しやすくなるため、患者が心地よく生活できるようにセルフケア能力の支援を行うことで興奮せずに過ごせるように調整しましょう。

感情の表出を助けること

患者は、不安や不満、怒りなどの感情を言葉に出して表現できず、大きな声を出すことや物にあたるなどの興奮行為で感情表現をしている場合があります。
患者の興奮の原因がどこにあったのかを理解して、患者が感情を表現しやすくなるように環境調整を行いましょう。
例えば、怒りや興奮しそうになった時のSOSの出し方を相談したり、手紙やメールなどで不安や不満をしたためてもらったり、じっくりと話を聞く時間をつくるなど、患者個人個人で合う方法、実現可能な方法を検討しましょう。

最終手段の投薬による鎮静処置

興奮がどうしても治まらない場合には、経口投与可能なリスペリドン液やオランザピン錠、経口投与不可能な場合には、定型抗精神病薬のハロペリドールの筋注などの投薬による鎮静処置も検討すべきでしょう。精神科医師へのコンサルタントを依頼して、仮に投薬による鎮静処置が行われたのであれば、急激な鎮静作用による呼吸抑制や血圧低下などがないか観察を行い、頻回な観察を行いましょう。


 

暴力

暴力

暴力とは、「他者に対して破壊的であること」を指します。

暴力は、精神科の入院時や入院直後などに生じやすいです。その理由は、精神科入院時は、精神症状による心身への影響がピークの状態にあり、患者自身が精神症状に正しく対処できないためです。

精神症状に左右されて、不安や怒り、苦しさの矛先が、家族や看護師、他医療スタッフへ向けられることが多いのです。




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暴力とは

精神科で仕事するとなると必ずと言っていいほど付きまとうのは、患者による暴力です。精神症状に左右されて、暴れている患者をイメージする人もいるかもしれませんが、殴る、蹴るなどの暴力に限らず、暴言も暴力に含まれます。また患者自身が自分を傷つける自傷行為や自殺未遂なども暴力となります。

できれば、看護師である自分も、暴力をふるう患者本人にも、暴力の被害にはあってほしくありませんよね?

今回は、暴力がなぜ発生するのかの原因や特徴を解説します。

暴力とは、「他者に対して破壊的であること」を指します。

暴力と一言でいっても、身体的暴力、精神的暴力、セクシャルハラスメントとにわかれ、いずれにしても他者に対して破壊的である行為には変わりません。

  • 殴る、蹴るなど身体的暴力
  • 暴言など精神的暴力
  • 性的セクシャルハラスメント

暴力は上記のようにさまざまな種類があります。暴力の重要な点は、暴力よる身体的な影響のみならず、精神的な心的外傷も与える点です。また暴力を受けた被害者と暴力を振るった

加害者という視点で見られがちですが、そこには、患者の精神症状や患者をとりまく環境などの影響を受けていることを忘れてはいけません。

暴力が起こる原因や要因とは

暴力が起こる原因には、患者自身の要因、患者をとりまく環境要因、患者からの暴力受ける他の患者や家族、医療スタッフの要因に分けることができます。

  • 患者自身の要因
  • 患者をとりまく環境要因
  • 他の患者、家族、医療スタッフの要因

順番に解説します。

患者自身の要因

暴力の原因として、一番大きなウェイトを占めるのは、患者自身の要因です。患者自身が精神症状に左右されて、興奮し暴力へはしっていることは、精神科ではよくあるケースです。

精神症状としては、幻覚・妄想、せん妄、躁状態などがあります。

幻覚ではナースが近づいてくることが白い怪物に襲われそうになっているように感じ、身を守るために暴力を振るうこともあります。

妄想では、この人に悪いことを言われているから許せないという被害妄想を修正できず、暴力に至る場合もあるでしょう。

薬物やアルコールによる離脱症状の焦燥感が高まり暴力を振るう場合もあれば、薬物やアルコールによる離脱せん妄による暴力もあります。

躁状態で思考がまとまらず、静止する看護師や家族の手を振り払おうとしたものが暴力と捉われることもあるでしょう。

精神症状によって、患者が暴力に至ることはよくあるケースです。とくに入院直後や隔離が長期に渡ると出現するリスクも高いです。

患者の精神症状はよく観察して対応できるようにしましょう。

患者をとりまく環境要因

自宅であれば、自分の部屋やリビングが汚れていることや動線が悪くて状態が悪くなることあるでしょう。また、患者がルーティーンとしている動作が妨げられると刺激になる場合もあります。いつも使っているものが、いつもの場所にないことや、いつも使っている道が工事で通れないなど環境要因はさまざまです。

他の患者、家族、医療スタッフの要因

患者のみならず、その周囲の人が原因となって暴力に至るケースもあります。

例えば、状態の悪い患者から心ない言葉で、暴力に至ることもあります。

また家族は、患者本人に近いからこそ厳しい言葉や仕打ちをしてしまい、患者の精神症状を悪化させてしまう場合もあります。

最後に医療スタッフ、とくに看護師の対応が患者を刺激することもあります。新卒看護師であれば、看護技術の低さから患者を刺激することもありますし、ベテラン看護師でも慣れているからこそ言動が軽率になることもあります。本人の精神症状が落ち着いていてもこれでは意味がなくなりますよね。

暴力の原因や要因について簡単に解説しました。暴力の要因としては、患者自身の要因、環境要因、周りの人の要因の3つがあることがわかりました。裏を返せば、患者の刺激になっているところを改善すれば、暴力は最小限に留めることも可能であるということです。医師や看護師や家族など周りの意見だけでなく、患者が負担になっていること、ストレスになっていることを確認して、刺激を取り除く看護をできれば幸いです。


 

せん妄

【看護師必見】せん妄の症状と看護を解説

せん妄とは、中枢神経系に侵襲が起こると出現する脳器質性精神障害です。

さまざまな原因から急激に脳機能の失調をきたすと、脳の処理が間に合わなくなり、せん妄状態になります。

せん妄状態になると、

  • 識混濁
  • 近時記憶障害
  • 見当識障害
  • 不眠
  • 混乱
  • 幻覚

などの症状を呈します。

悩む看護師
精神科ではどんなせん妄が多いですか?

アルコール使用障害や薬物使用障害の患者でよく見られる離脱せん妄が臨床ではよくみられるせん妄かもしれません。認知症の黄昏時にもせん妄症状がよくみられますね。

 




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「せん妄」と一言で言われたとき、あなたはどんな症状を思い浮かべますか

管理人ハチ
管理人の私は精神科で看護師をしているので、せん妄と言われるとアルコール依存症の患者や薬物依存症の患者が離脱症状を起こして、興奮したり暴力暴言を起こしている状態を思い浮かべます。

外科病棟の看護師だと、手術を終えたばかりの患者が興奮して落ち着かない状態を思い浮かべると思いますよね。

また、特別養護老人ホームなどの施設に勤めている看護師は、日中まで穏やかに話をしていた認知症の患者が夕方から夜にかけて大声で叫んだり、おびえたりしている様子を思い浮かべるかもしれません。

「せん妄」と一言で言っても、どの分野の臨床に従事しているかでイメージは軽度~重度まで幅があることがわかります。アルコールや認知症、術後と原因もさまざまで、看護師が共通のイメージを持ちにくのも「せん妄」の特徴です。

✔内容

  • せん妄とは
  • せん妄の症状とはどんな状態か
  • せん妄状態になると何が危険なのか。
  • どう対応したらよいか。

「せん妄」とは、「せん妄」の症状について簡単に解説していきます。

せん妄とは

せん妄とは、中枢神経系に侵襲が起こると出現する脳器質性精神障害です。

さまざまな原因から急激に脳機能の失調をきたすと、脳の処理が間に合わなくなり、せん妄状態になります。

せん妄状態になると、

  • 意識混濁
  • 近時記憶障害
  • 見当識障害
  • 不眠
  • 混乱
  • 幻覚

などの症状を呈します。

せん妄の症状とはどんな状態か

せん妄の症状は、大きく分けると認知機能障害、精神障害、睡眠・覚醒リズム障害の3つがあります。3つの主な症状は以下にまとめます。

  • 認知機能障害:近時記憶の障害(遠隔記憶は比較的保たれる)、いつどこでだれがといった見当識の障害
  • 精神障害:落ち着いたと思ったら、暴れるなどの予測不可能な急激な変化、多弁・多動または無為・活動性低下、幻覚幻聴などの体験
  • 睡眠・覚醒リズム障害:不眠、夕方から夜間にかけて症状を呈する、混乱した夢や悪夢を見る

せん妄状態になると何が危険(リスク)なのか。

せん妄状態でもっとも危険なのは、自傷や他害の恐れがあることです。

患者はせん妄状態になると、興奮や不穏が激しく安静が保てない場合もあります。

また、興奮や不穏によりスタッフへの攻撃性が出現することもありますし、自分自身を傷つける恐れも出てきます。

激しいせん妄の症状が出た際には、医師と相談のうえでハロペリドールをはじめとする薬剤による鎮静を検討してもらいましょう。

その次に危険なのは、転倒・転落と点滴ルート類の自己抜去です。

術後や薬物によるせん妄は、患者にふらつきがあることがしばしば。

ふらつきがある場合には、必然的に転倒・転落のリスクは高くなります。また、意識混濁により目についたものへの反応性も上がります。点滴ルートや胸腔ドレーン、留置カテーテルなどルート類を混乱した状態で抜いてしまうことがあります。

せん妄が出たときにはどう対応したらよいか。

せん妄が出たときには、患者の安全確保が第一に優先されることです。

例えば興奮が激しい場合や安静を維持できないのであれば、できるかぎり早期に鎮静することが求められます。

つまるところ、薬物療法による鎮静です。

興奮や不穏が激しい場合には、医師と相談のうえで薬物治療を検討しましょう。興奮が激しくない場合や不安感が強い場合には、患者の生活環境の調整や、患者の話を聞き安心感を持てるように関わることが重要となります。

せん妄への対応は以下のようにまとめれます。

  • 薬物療法
  • 環境調整
  • ルート類の調整
  • 傾聴・声掛けにより不安感を取り除く
  • 抑制

基本的には、薬物療法で鎮静をかけることとなりますが、そのほかの対応も重要なので順番に解説していきます。

薬物療法

せん妄による興奮や不穏状態は患者それぞれで違います。

見当識障害による不安が高まり、不穏、興奮状態の患者の安全や安静を保つ意味で、早期に鎮静をかける必要があります。薬物療法によるせん妄治療は、せん妄治療ガイドラインにも乗っており、薬剤による鎮静が推奨されています。
ただ、薬物療法を行わなくても、環境調整や傾聴で症状が改善するケースも少なくありません。また、薬物療法を行わなくても数日でせん妄症状が改善することもあります。薬物療法を第一選択とせず、患者のせん妄に合わせた対応が重要です。
薬物療法には、抗精神病薬のハロペリドール、非定型抗精神病薬のリスペリドン、オランザピン、クエチアピンなど選択肢はさまざまです。医師の指示に従い施行し、薬物による副作用のふらつきの確認、EPS症状のアカシジア、パーキンソニズム、不整脈などを注意深く観察しましょう。また、内服可能なのか不可能なのかもアセスメントが重要となります。患者への侵襲は避け、なるべく経口からの内服を勧めるようにしましょう。興奮、不穏状態での筋注や静注はそれだけで患者、スタッフへのリスクが高くなります。

環境調整

転倒・転落によるリスクや器物破損のリスクを下げるために、環境調整は重要です。まず、患者のベッド周辺を整理整頓しましょう。ベッドはできる限り低くし、ベッド柵を利用し転倒・転落のリスクを下げます。また、患者の手の届く範囲に処置物品を置かないようにしましょう。特に、注射器や刃物類などは自傷他害のリスクを上げますので「一瞬だけ」と思っても患者の側を離れる際には回収してから離れましょう。夜間は真っ暗にせずに薄暗い照明にし、転倒予防をします。
せん妄では見当識障害が出現することもしばしばあります。ここはどこであるのか、今何日で何時なのかなどが患者にわかるように、カレンダーや時計などを患者の見やすい位置に置くようにしましょう。

ルート類の調整

点滴ルートや胸腔ドレーン、留置カテーテルなどのルート類は、患者の不安を増長し、自分で引っこ抜くリスクが高いです。可能であればルート類は最低限になるようにします。また、自己抜去のリスクを減らすために、患者の視界に入らないようにルート類や点滴台の位置を調整すること、自己抜去できないようしっかりと固定すること、興奮時にルート類がからまらないようゆとりをもって固定することなどが大切です。

傾聴・声掛けにより不安感を取り除く

せん妄時、患者には失見当があり、「ここがどこであるか」「今日が何日か」「なぜ入院しているのか」などがわからなくなります。患者は状況が理解できず不安で不安で仕方ないはずです。患者の訴えをよく聞き、関わるスタッフはゆったりとした声色で大きな声で話かけるようにします。抽象的な表現は避け、簡単な言葉でわかりやすく話しましょう。幻覚妄想体験に左右されている患者には、否定も説得もせず、話題を変えることや距離をとるなどしましょう。

抑制

せん妄による興奮や不穏が激しい場合や、幻覚妄想体験に左右され自傷のリスクなどがある場合には、やむを得ず抑制を必要とすることもあります。抑制は、身体的にも精神的にもストレスがかかる対応なので、安易に抑制を行わず、医師や看護師などの複数でのカンファレンスを行い慎重に抑制の検討を行います。抑制をする場合にも肺塞栓症や褥瘡などの合併症を起こさないように観察します。

せん妄と認知症の違い

せん妄は、脳器質性精神障害で、認知や精神に障害をきたすことは解説しました。臨床でも間違えられがちな認知症とは何が違うのか。

結論からいいますと、発症が急激で症状の日内変動がありせん妄の期間をすぎると元の状態に戻りうるのが「せん妄」と言えます。

  • 発症が急激
  • 症状の日内変動がある
  • 可逆的(元の精神状態に戻りうる)

実際にせん妄と認知症では、どのような違いがあるのか順番に解説していきます。これを読めば心にストンと理解できるのではないでしょうか。

発症が急激なのはせん妄!認知症はあいまい

発症が急激なのはせん妄!認知症はあいまい
せん妄は、症状が出現するスピードが急激です。また、せん妄はいつからおかしくなったかはっきりと発症の日時を言えることが多いです。
一方の認知症は、発症がいつからなのかあいまいです。そういえば数年前から忘れっぽくなったかな、そういえば何か月前に道がわからなくなったりしていたかな、といった感じで発症の時期があいまいではっきりとしません。
つまり、いつ頃から症状が現れたか、いつから普段と違う精神症状が現れたのか、はっきりわかる場合にはせん妄で、発症があいまいなものは認知症と簡単に区別することができます。

症状の日内変動が顕著なのはせん妄!

症状の日内変動が顕著なのはせん妄!
日中普通に話せていたにも関わらず、夜になると「そこに虫がはっている」「話し声が聞こえる」などと幻覚幻聴体験に左右されたり、暴言や暴力がみられるなど、せん妄は症状が明らかに日内変動があります。特に夕方から夜間にかけては顕著に症状が現れます。夜はおかしくなり、翌日になると、表情もしっかりしていて話も普通にできます。しかしまた夜になるとおかしくなるといった症状がみられる。
このように日内変動がみられるのがせん妄です。認知症では常時症状が現れているケースがほとんどです。しかし認知症の患者の中にも、夜間になると症状が現れるという患者もいると思います。そのような場合は、認知症のせん妄症状がでているのかもしれません。

せん妄は元の状態に戻りうる!

せん妄は元の状態に戻りうる!
せん妄は、せん妄の症状を呈している期間を過ぎると元の精神レベルまで戻ってくるケースがほとんどです。認知症の場合には、徐々に症状が進んでいき、失われた脳の機能は元の精神レベルまで戻ってくることは不可能です。

せん妄と認知症の違いについて解説していきました。発症が急激で症状の日内変動がありせん妄の期間をすぎると元の状態に戻りうるのが「せん妄」、発症があいまいで日内変動がみられず元には戻らないのが認知症です。
せん妄と認知症はよく間違われることがあります。間違われる理由としては、認知症の患者がせん妄を起こして、認知症の症状が一気に悪化したように見えるため、誤診してしまうのです。患者の状態をしっかり観察すること、家族の話をよく聞くことで間違えるリスクを避けることができます。


 

 

躁状態

【必読】精神科歴5年が双極性障害(気分障害やうつ病)アセスメントと看護計画を解説

躁は、抑うつと対極に位置づけられる精神的活動性と身体的活動性が亢進した状態をいいます。

具体的に躁状態とは、爽快な気分になったり気分が高揚していい気分になる躁性感情障害、よく話すようになったり落ち着いていられなくなる意欲や行為の障害、次々と話が移り変わる観念奔逸などが見られる状態です。

 

また、なかなか寝つけない睡眠障害や、過食気味になる食欲の亢進も一緒に見られることが多いです。

躁状態になると、自己中心的な考え方をして、自分の行動を妨げられたり、考えを否定されたりすると、イライラしたり興奮したりする易刺激的な状態になります。

躁状態では、易刺激的で興奮しやすい状態となるため、患者と議論したり無理に説得しようとすると症状の増悪に繋がります。刺激を除去して患者の休息を促すかかわりが重要となります。

躁状態の看護を詳しく知りたいあなたは下の記事が参考になります。
参考【必読】精神科歴5年が双極性障害(気分障害やうつ病)アセスメントと看護計画を解説

抑うつ

抑うつ状態とは、躁状態とは対極に位置付けられて、気分が沈んで、身体的にも精神的にも活動性が低下し、悲観的になっている状態

抑うつ状態とは、躁状態とは対極に位置付けられて、気分が沈んで、身体的にも精神的にも活動性が低下し、悲観的になっている状態を言います。

うつ病では典型的な症状として、抑うつ状態、興味や喜びの喪失、易疲労性の3つの症状が現れますが、すべての症状の根底にあるのは抑うつ状態による感情、思考、集中力、判断力の低下にあります。

抑うつ状態の看護を詳しく知りたいあなたは下の記事が参考になります。
参考【必読】精神科歴5年が双極性障害(気分障害やうつ病)アセスメントと看護計画を解説

不安

【基本】患者の不安を取り除く看護を解説【看護計画はコミュニケーションが重要】

不安とは、何かが気になって落ち着かない状態を言います。

 

不安は、患者でなくても看護師であろうと医師であろうと誰でも感じる不快な感覚です。

不安な患者への対応は傾聴です。もっといえば、言語的なコミュニケーションに加えて、背中をさする、、手を握るなどの非言語的コミュニケーションが不安な患者への対応には重要です。患者の話を聞くというのが、当たり前ですが、不安を取り除くことが一番重要な看護です。

 




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もっと詳しい看護を見たい人は『詳しい看護計画をみる』をタップ。

人が生活をしていれば心配なことは尽きないものですよね?例えば、家庭、仕事、勉学、人間関係などなどさまざまな心配事が人生にはあふれています。心配事はあれど、常に心配事にとらわれている人は少ないと思います。仕事であればプレゼンテーションの心配だったり、人事発表の心配はあれど、そのイベントが終われば心配事はなくなります。また、人間関係であれば、こじれていた関係が話し合いで解消されれば心配は消えていきます。

しかし、不安障害になると、四六時中さまざまな心配事や不安なことにとらわれ続けます。道路を渡る際に「車がくるかもれない」「途中でこけて車が来たらどうしよう」「信号機が壊れて車が走ってくるかもしれない」などと、正常不安は、不安が正常に機能している状態を指します。
たとえば、道路を渡る際に「自分が心配や不安になってもどうしようもないとわかっていても(不条理な考えたとわかっていても)、心配事や不安が拭い去ることができない状態を不安障害といいます。

そんな不安障害の原因や要因について解説していきます。

不安障害とは

不安障害とは、自分が心配や不安をしても仕方ないとわかっていても、不安を拭い去ることができない状態を指します。
不安の種類としては、正常不安と病的不安があります。

正常不安とは

正常不安は、不安が正常に機能している状態を指します。
たとえば、道路を渡る際に「右左を確認せずに渡ろうとしたら車がきて轢かれるかもしれない」という不安が頭によぎり、しっかりと左右の安全を確かめてから渡りきる。このように不安は身を守り役割があり、身を守る役割を果たしているのが正常不安です。

病的不安とは

病的不安は、不安が正常に機能していない状態を指します。
たとえば、道路を渡る際に、「車がくるかもれない」「途中でこけて車が来たらどうしよう」「信号機が壊れて車が走ってくるかもしれない」など心配してもきりがないとわかっていても不安で道路を渡ることができない状態です。いわば、身を守る役割を果たしてはいるものの、過剰に身を守る機能が働き、日常生活をしていくことが難しい状態の不安を指します。
不安障害は、この心配しても仕方ない不条理なことを、病的に不安に感じてしまい、日常生活がままならない状態を指します。

不安障害の原因や要因とは

不安障害の要因は生物学的要因、心理学的要因(性格的要因)、遺伝的要因、環境的要因の4つがあります。
不安障害は、これら4つが複雑に絡み合い発症すると、考えられています。

  • 生物学的要因
  • 心理学的要因(性格的要因)
  • 遺伝的要因
  • 環境的要因

それでは、4つの生物学的要因、心理学的要因(性格的要因)、遺伝的要因、環境的要因について順番に解説していきます。

生物学的要因

生物学的要因とは、解剖学や生理学、生化学といった要因です。特に不安障害については、神経伝達物質が深くかかわっていることが研究から明らかとなってきています。不安に関する神経伝達物質としては、ノルアドレナリン、セロトニン、GABA(γアミノ酪酸)があげられます。

  • ノルアドレナリン
  • セロトニン
  • GABA(γアミノ酪酸)

ノルアドレナリン

ノルアドレナリンは、興奮性の神経伝達物質です。ノルアドレナリンが分泌されると心拍をあげたり、同行を拡大したり、痛みを感じにくくしたり、集中力をあげたりします。興奮性の神経伝達物質なのになぜ不安に関係しているのか?と感じた人もいることでしょう。ノルアドレナリンは、ストレスと密接な関係があります。特に不安や恐怖といったストレスを人間が感じたときに、ノルアドレナリンは分泌され、不安や恐怖に対応できるようにします。
しかし、ノルアドレナリンは短期間のストレスに対してはプラスの効果を発揮しますが、長期的に続くストレスに対してはマイナスの効果が出てきます。常にノルアドレナリンが放出され続けると、身体は興奮状態を維持しようとしますが、そのうちに身体のほうが追い付かなくなります。身体が追い付かなくなると、ノルアドレナリンの分泌が減ってしまい、不安や恐怖に対応できなくなります。その結果として、不安障害などの精神障害を引き起こします。

セロトニン

セロトニンは、精神を落ち着かせる作用のある神経伝達物質です。セロトニンはノルアドレナリンやドーパミンといった神経伝達物質の調整役を担っています。興奮や抑制などさまざまな神経伝達物質の調整を行っているセロトニンの分泌が低下すると、興奮を促す場合もあれば、抑制を促す場合もあります。そのため、セロトニンが減少すると不安が増強したり、抑うつ的になる一方で、攻撃性や衝動性が亢進したりします。不安に対してだけでなく、さまざまな精神疾患に関与しているセロトニンは、SSRIをはじめとするセロトニンの効果を持続させる薬もたくさんあります。

GABA(γアミノ酪酸)

健康ブームで発芽玄米、チョコで有名になったGABAも不安に深く関係している神経伝達物質です。GABAは、神経の働きを鎮静する作用があるため、興奮や緊張、不安などを鎮静させる効果がある神経伝達物質です。GABAが不足すると興奮や緊張、不安が増強するため、イライラしたり、攻撃性や衝動性が増したり、不安で落ち着かなくなります。そのほかにも、血圧を下げたり、中性脂肪の働きを抑えたり、肝臓・腎臓の働きを強める効果があります。
薬物でいうと、GABAの働きを活性化させるベンゾジアゼピン系薬物が不安障害への治療に有効なことが研究で明らかとなってきています。

心理学的要因(性格的要因)

不安障害における心理学的要因とは、ネガティブな思考や心配性な気質のことです。
たとえば、どこかに向かっている途中、半分の距離まできたとします。楽観的な思考の人は「あと半分だ」と考えることができますが、ネガティブな思考の人は「まだ半分もある」と感じるでしょう。
不安や恐怖、心配の対象に対しての認知や危険度を大きく見積もると不安は大きく感じます。逆に自分の対応力がある場合や、周りからの援助がたくさん受けられる場合には、不安や恐怖は小さく感じます。
自分を過少に評価してしまったり、不安や恐怖を大きく感じてしまうといった心理学的な要因が不安障害に影響を与えています。不適切な認知や不条理な考え方を修正していく認知行動療法などが注目されています。

遺伝的要因

遺伝的要因は言葉のままですが、家族性や遺伝性があることが分かっています。特に遺伝研究では、何らかの遺伝要因が不安障害の発言に関与しているといわれています。また、家族に不安障害の患者がいる場合には、不安障害の患者がいない場合に比べて、不安障害を出現する確率が高くなると指摘されています。
上記で説明したセロトニン関係でも遺伝研究があります。セロトニン系の遺伝子の変異によって、セロトニン系薬物が作用する部分が変異しており、神経伝達物質の産生が少なく、不安が高い水準となっているそうです。

環境的要因

環境的要因とは、患者が生活している外的なストレスのことを指します。家庭環境、人間関係、仕事場の問題、学校での問題、近隣との関係、大きな節目のイベントや行事、健康問題、経済的な問題などの外的な環境から影響を受けて不安障害になる場合もあります。ストレス耐性が高くても、長期間ストレスが過度にかかる環境に身を置いていると不安障害になるリスクは高まります。

不安による症状とは

不安は、身体的な症状精神的な症状の2種類の症状を起こします。

不安による身体的な症状

不安による身体的な症状は、自律神経に影響を及ぼすことによる頭痛、動悸、発汗、胸がしめつけられる感じ、胃部不快感を引き起こします。そのほかにも、息苦しさ、手のふるえ、頻尿、めまい、膝の力が抜ける、ふらつきなどの症状も現れます。あなたも、スポーツの試合などで不安になって頭が真っ白になったり、入試などで手がふるえて実力を発揮できなかったことなどなど、経験がありませんか。

  • 頭痛
  • 動悸、心拍数増加
  • 発刊
  • 脱力
  • ふるえ、身震い
  • 息切れ
  • 口渇
  • 頻尿
  • 呼吸困難、息苦しさ、過呼吸
  • めまい
  • ふらつき

不安による精神的な症状

不安による精神的な症状は、思考や知覚、認知機能に影響を与えます。思考には、死の恐怖感、気が狂いそうになる、気が遠くなる、不安な物事にとらわれて不眠になる、易刺激的になるなどがあげられます。知覚に対する異常としては、心臓が飛び跳ねてくる感じ、手足がゴムかなにかのようにぐにゃぐにゃする、四肢末端への痺れや熱感・冷感などがあります。認知機能においては、不安を与えている出来事の前後での判断能力の低下や記憶力の低下などがあげられます。重要なプレゼンや発表会で気が遠くなったり、手足が冷たくなったり、開始前後の記憶があいまいになっているという経験がある方も少なくありませんよね?

  • 恐怖感、気が狂いそうになる
  • 気が遠くなる
  • 易刺激的、イライラ感
  • 心臓が飛び出る感じ。手足がゴムみたいになる
  • 四肢の痺れ、熱感、冷感
  • 鈍痛、痛みに過敏になる
  • 入眠困難
  • 記憶力の低下
  • 集中力の低下

不安になると悪循環に陥る?

誰しもが経験したことがあるのではないでしょうか?試合前や発表会前に失敗するのではないかと不安になり、手や足がふるえ、ふるえたことで余計に不安になり、さらに呼吸が浅くなったり、手足が冷たくなったりといった不安の悪循環を経験したことがありませんか。
不安になると、不安の悪循環に陥ります。不安な出来事→どうしようと不安になる→不安による身体的・精神的症状→このままでは失敗するのでは…余計不安になる→不安による症状が悪化・・・といった具合にデフレスパイラルのような悪循環を起こします。
不安になると悪循環に陥る
このような状態にならないように、看護師は患者の不安を取り除くことや、悪循環のスパイラルをどこかで断ち切る必要があります。それは次回以降に解説していこうと思います。

不安な患者への対応・看護とは

不安な患者への対応は傾聴です。もっといえば、言語的なコミュニケーションに加えて、背中をさする、、手を握るなどの非言語的コミュニケーションが不安な患者への対応には重要です。患者の話を聞くというのが、当たり前ですが、不安を取り除くための対応です。
患者に限らず不安になっているときは、話を聞いてもらいたいものです。まれに話したくないという人もいますが、誰しもが話を聞いてもらいたいと思っています。しかし、話を聞いてもらいたい一方で不安感から正常な思考や判断ができなくなっている場合もあります。前回も解説したとおり、不安になっている患者は下の図のように不安の悪循環に陥っていることが多いです。落ち着いて話を聞ける環境を整え、安心して話せるようにしてあげることが大切です。そこで出てくるのが傾聴です。

傾聴とは

傾聴とは、相手の話をそのまま受け止めて聞くことを指しています。ただ単に黙って話を聞くだけではありません。ここを勘違いしている方も多いと思います。聞くだけなら犬でもいいのです。看護師として、患者の話を受け止め、相手の不安がどこから来るのか突き止めて不安を取り除く、又は軽減することが看護師として求められるスキルです。
では具体的には何をするのか。

ゆっくりとした口調で共感的に話を聞く

話を聞くのは当然ですが、ピシャリと話を切るような話し方や何かを作業しながら話を聞いては、患者も本音で話しにくいものです。まずは静かに話せる環境を整えましょう。可能であれば個室、デリケートな話であればあるほど、プライバシーを保護できる環境で話を聞くことが大切です。
話を聞くときには、ゆっくりとした口調で共感的に話を聞きます。共感的にとは、「あなたはそう思うのですね」とありのままの患者の言葉を受け止めることが重要です。

患者の背景を把握しておく

傾聴ですから話を聞くのはいうまでもありません。話を聞く姿勢が大切です。まず一番重要なのは、相手の立場になってどうしてほしいのかを考えてから話を聞くことが大切です。たとえば、「不安で寝れない」という患者がいるとします。入院しているので当然病気のことで不安になっていると、看護師が思い込んでしまってはいけません。不安になっている理由もその人さまざまです。病気のことではなく、家族のことが心配になって寝れないかもしれませんし、経済的な理由で入院費のことが心配なのかもしれません。患者が病気のことだけで不安になっているだろうと高を括るのが一番よくありません。
患者の現在の病気や患者の背景、家族関係、経済状況などをなるべく調べてから対応できるようにするとそのような勘違いは起こりにくくなります。患者の不安の原因はひとつとは限りません。ましてや不安になっている原因がわからない患者もいます。患者の背景を把握して話を聞く体制を整えてから、患者の話を聞きましょう。

不安になっている原因を聞き出そうとしない


業務が忙しいあまり患者の話を十分に聞けずに、「これこれこういう理由で不安なんですね」という対応、又はそのようなニュアンスで簡単に対応してしまった記憶はありませんか。
患者が不安になっている原因は無理に聞き出そうとするのはおすすめできません。無理に聞き出そうとすると、患者は無下に扱われたと感じ不満、不安が増長しかねません。
患者自ら何が不安で今の状態になっているのかを気付けるように話を聞くことが大切です。

不安による症状を軽減する

不安な状態になるとさまざまな症状が出ます。そわそわと落ち着かなかったり、のどが渇いたりします。症状を軽減するために、深呼吸を促したり、足浴を実施したり、温かい飲み物を飲んでもらったりしながら話をすることで落ち着いて話せます。不安による症状に対応したケアを行ってあげるといいでしょう。

不安な患者への対応は、傾聴です。傾聴といっても、ただ話を聞くだけが傾聴ではないことを解説しました。不安からくる症状を軽減しながら、患者が話しやすい環境調整を行い、不安について話せるようにしてあげることが看護師として求められる技術です。傾聴だけでは不安を取り除けない場合も多々あります。そのような場合はチームでの対応や、精神科へつなぐこと、心理士やそのほかの他職種と連携して対応することも大切です。

以下余談。

管理人ハチ
セロトニンの話が出たので、セロトニンについてまとめておきます。

セロトニンとは

セロトニンとは、不安や恐怖といった感情を抑え、精神を落ち着かせる作用がある神経伝達物質です。不安や恐怖といった感情はさまざまな神経伝達物質が関わっていますが、セロトニンは特に、興奮に作用するノルアドレナリン、ドーパミンが暴走するのを抑える役目を果たしています。
また、不安だけでなく、睡眠や鎮痛作用にも深くかかわっています。そのため、精神疾患の薬物治療では、セロトニンに作用する薬物が多くなっています。

脳、消化管、止血におけるセロトニンの割合とは

セロトニンは不安にかかわっているにもかかわらず、全セロトニン量の2%しか脳内にありません。90%は消化管内に存在し、残りの8%は血管に存在しています。
脳、消化管、止血におけるセロトニンの割合
脳内では、上で説明したとおり、不安や恐怖を落ち着かせる作用を担っています。
消化管内では、腸内から肛門まで便を送り出す蠕動運動の調整役を担っています。
血管では、血液の凝固成分の血小板の動きを調整したり、血管の伸縮を行う平滑筋を収縮させるなど、血液の止血作用を担っています。
セロトニン一つをとっても、場所によって興奮や抑制など両極端な作用をするところが面白いところですよね。

セロトニンが合成されるまでの過程

セロトニンは、セロトニンとして食べ物に含まれているわけではありません。セロトニンは、アミノ酸の一種であるトリプトファンから合成されます。アミノ酸なのでたんぱく質にトリプトファンは含まれていますが、食べ物に含まれるトリプトファンが食事から摂取されると、腸内でトリプトファンが取り込まれ、血液中をトリプトファンが移動し、トリプトファンを分解する酵素が反応してセロトニンが合成されます。

セロトニンの効果とは

セロトニンの効果は、不安や恐怖を取り除くと説明しましたが、具体的には4つの作用があります。以下の4つです。

  • マイナス思考の改善
  • 覚醒
  • 姿勢保持
  • 鎮痛

マイナス思考の改善作用

人は、ストレスがかかると脳に負担がかかります。その結果、不安になったり、恐怖を感じたり、興奮したり、マイナス思考になったりといった症状が出てきます。セロトニンは、脳へのストレスによって気分が不安定にならないように、調整します。具体的には、脳へストレスがかかり不安定になると、セロトニンが分泌されて、大脳辺縁系という部分に作用して、気分を落ち着かせる作用を起こします。逆にいうとセロトニンがうまく分泌されなくなると、極度に緊張、不安状態になったり、物を壊したり自分や他人を傷つけるなどの衝動性が高まったりといった症状が現れます。

覚醒作用

セロトニンは分泌されると血圧や呼吸、心拍といった生命活動を活性化されます。特に太陽の光を浴びると、セロトニンの分泌が活性化されます。またセロトニンは、睡眠に作用するメラトニンという物質を生成する作用もあります。そのため、セロトニンの分泌が少ないとメラトニンの分泌も少なくなるため入眠が上手くできなくなります。

姿勢保持作用

セロトニンは作用する場所によってさまざまな役割を担っています。その中でも運動関係の作用として、姿勢を保持する作用があります。立ち姿やすわり姿に関係する筋肉、抗重力筋と呼ばれる筋肉にも作用します。抗重力筋は、首、背筋、下肢などの筋肉を指しますが、セロトニンはこれらを刺激します。逆にセロトニンが不足すると姿勢が悪くなります。

鎮痛作用

セロトニンは、痛みに対しても大きな役割を果たします。セロトニンは、痛みを伝達する感覚伝導路というルートを抑制する作用があります。痛みが発生すると、セロトニンが分泌され、このルートの働きを抑制するため、鎮痛作用もセロトニンの重要な役割の一つです。

セロトニンが不足したときどのような症状が出るのか

さまざまな効果があるセロトニンが、不足したときには効果とは逆の症状が出ます。主に不安や恐怖の感情がうまくコントロールできなくなったり、無気力になったりします。またメラトニンの分泌も不足するため結果として、睡眠の質も悪くなります。

  • 感情のコントロールができなくなる
  • 無気力になる
  • 睡眠が悪くなる

感情コントロールがうまくできなくなる

セロトニンが不足すると、心のバランスが保てなくなり、感情をコントロールできなくなります。たとえば、突然怒って興奮したり、物を投げつけたり手が出たり衝動的になったりします。

感情が沸かなくなる、無気力になる

セロトニンが不足すると、感情の起伏が少なくなり、無気力で何もやる気がでないという症状も出ます。上記の興奮すると相反するように感じるかもしれませんが、ホルモンのバランスが崩れると、感情の起伏がなくなります。自殺した方のホルモンを検査するとノルアドレナリンやセロトニンが少なくなっているという研究も出ているようです。

睡眠が悪くなる

セロトニンが不足すると、メラトニンの分泌も不足するため結果として睡眠の質が悪くなります。入眠が難しくなったり、途中で起きてしまうような症状が現れます。

セロトニンの効果や不足するとどのような症状がでるのかを解説していきました。一概にセロトニンだけの影響で、感情コントロールができなくなるとは言えませんが、セロトニンに作用する薬物で気分が改善しているところを見ると、セロトニンが気分安定に大きな役割を担っているのは明らかです。手術前や術後など気分変動がある場合には、精神科へ繋がぐのも一つの方法かもしれませんね。


 

不眠

【精神科Ns解説】不眠の10個の看護や対応【結論:睡眠障害への看護計画が見つかる】

不眠とは、入眠困難や中途覚醒など睡眠時間の障害や睡眠の質が障害されて、日常生活に支障がでている状態を言います。

 

不眠は

  • 入眠障害
  • 中途覚醒
  • 早期覚醒
  • 熟眠障害

の4つのタイプがあり、その原因はさまざまです。

 

原因として挙げられるのは、

  • 心理学的要因
  • 生物学的要因
  • 身体的要因
  • 精神学的要因
  • 薬物的要因

の5つがありますが、1つの要因だけでなく。それぞれが重なり合って不眠になっている場合もあります。

 

不眠を訴える患者は、精神科にたくさんいます。

寝れずに昼夜逆転や興奮や易刺激的な患者もいるため、不眠への対応は必須の看護技術と言えます。

患者への関わり重要となるのは、患者の不眠の原因を究明し、原因の除去を行い、患者自ら規則的な生活や不眠にならない生活リズムを身に着けられるようにサポートすることです。




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悩む看護師
不眠に悩む患者に対する看護ってなんだろ?快眠をしてもらうために、どのようなことをきてもらえばいいのか?運動とか日光浴とか具体的にどのくらいやればいいの?

こういった疑問にお答えします。

不眠の原因はさまざまで患者ごとで個別の看護ケアを計画することが大切です。

この記事では不眠患者にたいしてできる10つの看護師ができる援助方法を紹介します。

✔内容

  • 不眠とは
  • 不眠の原因は?
  • 不眠の患者への看護目標とは
  • 不眠患者の10つの看護ケア・対処方法

上のとおり不眠の患者の観察ポイントや具体的な看護ケア、援助方法を解説しますので明日からすぐに実践できますよ。

ちなみに不眠をもっと専門的に取り扱いたいのであれば精神科看護師がおすすめです。下の記事では精神科看護師の仕事内容や実際のところをこっそり暴露しています。一般科でしんどい思いをしている看護師は必見ですよ。

【2020年版】精神科看護師への転職マニュアル【結論:ラクに看護できます】
【2021年最新】精神科看護師転職マニュアル【仕事内容・役割・やりがい徹底解説】

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参考精神科看護師がよくである精神症状一覧で徹底解説

不眠とは

不眠とは、入眠困難や中途覚醒など睡眠時間の障害や睡眠の質が障害されて、日常生活に支障がでている状態を言います。

不眠には大きく分けて4つのタイプがあり、

  • 入眠障害
  • 中途覚醒
  • 早期覚醒
  • 熟眠障害

に分けることができます。これら1つの障害である場合もあれば、重複している場合もあります。

不眠の原因は、心理学的要因、生物学的要因、身体的要因、精神学的要因、薬物的要因の5つがあります。そちらも1つの要因だけもあれば、それぞれが重なり合って不眠になっている場合もあります。

不眠のタイプとはどういうものがあるか?

不眠のタイプは、以下の4つに分類することができます。

  • 入眠障害:床についてから入眠までに30分〜1時間またはそれ以上かかり、苦痛を訴えるもの。
  • 中途覚醒:一度入眠してから途中で起きてしまい、再入眠が困難なもの。
  • 早期覚醒:朝早くに目が醒めるもの。早いと言っても3時や4時などの時間。
  • 熟眠障害:入眠はできるもの本人に熟眠感がないもの。睡眠が浅く小さな物音や刺激で起きてしまう。

不眠の5つの原因とは

看護師が、不眠を訴える患者と関わるときに、不眠の原因や要因をアセスメントする能力は大切となります。不眠の原因はさまざまあり、患者ごとで異なるのが難しいところです。

不眠の原因は大きく分けると心理学的、生物学的、身体的、精神学的、薬物的な要因の5つに分けられるます。以下順番に解説していきます。

  • 心理学的要因
  • 生物学的要因
  • 身体的要因
  • 精神学的要因
  • 薬物的要因

順番に解説します。

心理学的要因

心理学的要因とは、精神学的なストレスによる不眠の原因のこと。

たとえば、大事な手術やイベントから不安や緊張が高まり、不眠になる場合があります。また寝れないのではないかという予期不安や、睡眠へのこだわりなどによる神経質性の不眠もあります。

生物学的要因

生物学的要因とは、生活リズムや日常生活の不摂生により睡眠のパターンやリズムが崩れることです。

たとえば、飲み会や残業などで不規則な生活で睡眠時間が削られ睡眠リズムが乱れること。また看護師のように日勤と夜勤が交互にやってくる不規則な勤務体制の場合も睡眠のパターンが障害されて不眠になる場合もあります。

身体的要因

身体的要因とは、発熱や咳、痛み、かゆみ、頻尿などの身体に症状がでて、不眠になることを指します。

インフルエンザや肺炎などによる発熱や発汗、寒気などで睡眠が十分取れない場合もあるでしょう。全身のかゆみ、がんなどによる疼痛で眠ることができないこともあるでしょう。尿が頻繁にでること、残尿感によって、不眠になることもあるでしょう。

精神学的要因

精神学的要因とは、精神疾患に合併して不眠になることを指します。統合失調症、うつ病、アルコール依存症、認知症などにより、精神症状が著しく安静を保てず、入眠できないことはよくあることです。

薬物的要因

薬物的要因とは、お薬やタバコやコーヒーなどの嗜好品、麻薬や危険ドラックにより出現する不眠の原因のことです。

抗がん剤、ステロイド、抗パーキンソン病薬、抗精神病薬などの副作用により不眠になる場合もあります。

コーヒーや緑茶などに含まれるカフェイン、タバコのニコチン、アルコールにより睡眠障害になることは有名です。

不眠の患者への看護目標とは

不眠の原因はさまざまですが、不眠患者が目指す看護目標は

  • 不眠の原因を取り除く
  • 睡眠の質の改善
  • 生活習慣の改善
  • 環境をよりよい睡眠ができるように調整すること

また、本人に合った生活リズムをつけること、本人が自分自身で実践可能な生活習慣を身につけることも大切です。

不眠患者の10個の看護ケア・対処方法

【精神科Ns解説】不眠の10個の看護や対応【結論:睡眠障害への看護計画が見つかる】

不眠に悩む患者の話を聞くのは当たり前の話です。

基本的には、傾聴によって患者の不眠の原因が何であるのか、どうすればその原因が解消されるのかを患者と一緒に考えることが一番大切な看護師の役割といえます。

あなたは「片付けしなさい」「勉強しなさい」と言われた経験はありませんか?

周りから言われるとやる気がそがれるのは、精神科の患者でも誰でも同じです。

受動的ではなく、能動的に患者が不眠の原因を解消できるようにかかわることが重要な看護師の役目です。

傾聴以外の具体的な看護師のケアは以下のようにまとめることができます。

  1. 日光を浴びる
  2. 規則正しい生活
  3. 朝ごはんを食べる
  4. 適度な運動をする
  5. ストレス解消する
  6. 睡眠時間を決めない
  7. 快適な睡眠環境にする
  8. アルコールはひかえる
  9. 睡眠薬や気分安定薬を上手に使う
  10. 寝る前にリラックスする時間をつくる

順番に解説します。

朝は日光を浴びる

体内時計の狂いを治すことは、起きる時間や寝る時間を一定にするだけでなく、日光を浴びることでもなおすことができます。

日光を浴びると神経伝達物質のセロトニンがメラトニンに分解されるのを促進します。メラトニンは睡眠ホルモンをいわれるホルモンで、メラトニンが十分に分泌されると睡眠の質が向上します。日光を朝浴びてからセロトニンがメラトニンに分解されるまでに約13時間ほどといわれていますので、7時に日光を浴びれば、20時頃にメラトニンに分解されます。早起きすると朝日を浴びることができるため早寝につながるわけです。

規則正しい生活【起きる時間、寝る時間を一定にする】

朝のおきる時間は体内時計で調整されています。

つまり、体内時計の狂いを元に戻せば、起きる時間や寝る時間は調整することができます。

体内時計の狂いを元に戻すには、起きる時間や寝る時間をいつも決めて一定にしておくことが大切になります。

例えば、ゲームのやりすぎて昼夜逆転している人や、連日飲み会に出かけてたり夜更かしで寝る時間が遅い場合には、寝る時間を一定にすることで体内時計の狂いを是正することができます。

平日や休日などに関係なく、起きる時間と寝る時間を一定にして、患者が毎日規則正しく就寝、起床を行う習慣をつけてもらうようにしましょう。

朝ごはんを食べる

朝食を摂取することでセロトニンが産生されやすくなります。

特に魚のたんぱく質、中でもマグロのたんぱく質がセロトニンの産生を効率よくするといわれています。

ツナのサラダや納豆などのたんぱく質を朝にとり、規則正しい生活を心がけることが大切です。

適度な運動をする

適度な運動を行うことにより肉体の疲労し、睡眠の質を向上させます。

不眠の患者によくあるのは、頭の中でよく考えているため頭には疲労感があるものの、運動はしていないため肉体的な疲労感がないというものです。

頭と体の疲労感のアンバランスは睡眠の質を下げるため、頭と身体の両方を適度に疲れさせることが大切です。

注意が必要なのは適度な運動です。激しい運動は筋肉痛や発熱を発生させるため睡眠の質を下げます。また、午前中よりも午後に適度な運動をするとよいといわれています。

ストレス解消する

ストレスは睡眠の質を大きく下げます。

ストレスの原因はさまざまですが、患者本人なりのストレス解消方法を身につけてストレスフリーな生活ができるように支援します。

ストレス解消の方法としては

  • 音楽
  • 読書
  • スポーツ
  • 旅行
  • カラオケ

などなど患者にあった方法を取り入れてストレスをため込まないようにしましょう。

何時間寝るのかと睡眠時間を決めない

患者ごとで睡眠時間には個別さがあります。

一般的に7時間や8時間寝るのがいいといわれてはいますが、

患者ごとで違うものを無理に決めるのはナンセンスです。

患者本人もそうですが、看護師も「○時間寝るようにしましょう」等とこじつけして睡眠時間を決めないでください。

睡眠時間が長くなると熟睡感が損なわれることもあります。
また、日中の午睡のしすぎも夜間の睡眠の質を下げることになります。日中の午睡は、15時前までに30分以内で午睡すると夜間の睡眠を妨げず、日中の活動の質もよくするといわれています。

快適な睡眠環境にする

寒すぎたり、暑すぎたり、明るすぎたり、湿気がこもりすぎていたりすると睡眠の質は下がります。

寝る場所の環境を、眠り安い快適な睡眠環境に調整することも重要です。

  • マットレスのかたさ
  • ベッドの高さ
  • 布団
  • 照明

など患者にあったものに調整できるのであれば、できる限り調整しましょう。

睡眠の適温は20℃前後と言われており、湿度は40~70%が快適な環境と言われています。

病院であれば調整はできますが、退院前訪問などで患者の睡眠環境を確認して、快適な睡眠環境にできるよう努力しましょう。

アルコールはひかえる

アルコールは睡眠の質を大きく下げます。不眠だから寝るためにお酒を飲むというのは一番よくない方法です。アルコールによる入眠効果は短く、飲酒後は深い睡眠が障害され、睡眠が浅くなり。早期覚醒が増えます。

睡眠薬や気分安定薬を上手に使う

睡眠薬や気分安定薬を上手に使うことによって睡眠の質一気に上がります。

ただこの方法精神科病院やクリニック、心療内科での処方をおすすめします。

内科の先生でも処方は可能ですが、睡眠薬や気分安定薬の乱用につながるケースも少なくありません。

参考現役精神科Nsが教える看護師が覚えるべき睡眠薬【覚えて一般科の現場で活かそう】

寝る前にリラックスする時間をつくる

運動や興奮すると交感神経が優位になり、音楽を聴いたりお風呂に入ってゆっくりしていると副交感神経が優位になります。

寝る際には副交感神経を優位にさせるとリラックスして睡眠に入ることができます。寝る前にアロマを焚くことや、足湯や湯たんぽなどで身体を温めるなども効果的です。

不眠を訴える患者に対する看護や援助方法を解説しました。すべてを実践するのは難しいと思いますが、せめて3つでもいいので患者と相談しながら変えられるところを変えてみましょう。


 

 

 

無為、自閉

【基礎】無為や自閉状態への看護・対応方法を解説【引きこもり状態の慢性期患者への関わり】

無為とは患者の意思表示がなく(またはできない)、自発性が低下している状態を言い、自閉とは現世から離れ、自分の世界に閉じこもってしまう状態を言います。

いずれにしても、無為や自閉は活動意欲が低下して、自分の世界に閉じこもり、一日中ベッドで寝て過ごすことや座ってすごすことが多く見受けられます。




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統合失調症などの精神疾患によって長期療養している患者に見られる症状である無為や自閉状態ってどのような症状でどのようなかかわりが必要かご存知ですか。

最近では、統合失調症でも早期に対応することが多くなり、無為や自閉状態に至る患者は少なくなりましたが、慢性期の病棟に行けばまだまだ無為や自閉状態になっている患者は少なくありません。そんな患者への看護や対応も見ていきましょう。

ここでは無為や自閉とは、無為や自閉状態の患者への看護や対応を解説します。

✔内容

  • 無為や自閉状態とはどのような状態か?
  • 無為や自閉の観察ポイント
  • 無為や自閉状態の看護や対応方法

管理人ハチ
この記事を書いている私は精神科看護師4年目で多くの無為状態の患者の看護をしてきました。

無為や自閉状態とはどのような状態か?

統合失調症の慢性期によく見られる引きこもり状態は、自発的な行動がなく周りとの関わりがない無為状態と、幻覚・妄想などの病的体験によって周囲との関係を築けずにいる不安状態による自閉状態(引きこもり状態)とがあります。

  • 無為
  • 自閉状態(引きこもり状態)

これらがどのような状態か順番に解説します。

無為とは

無為とは、患者の意思表示がなく(またはできない)、自発性が低下している状態を言います。

統合失調症や抑うつ状態の患者にみられる症状で、患者は何をしようという意欲や欲求が低下したり、何をするエネルギーが不足、欠落している状態になります。

日常生活や仕事、趣味などに興味や関心がもてず、日常生活(着替え、食事、お風呂など)がだらしなくなり、自発的な行動が少なくなります。

自閉状態とは

自閉状態とは、現世から離れ、自分の世界に閉じこもってしまう状態を言います。

自分の内的世界に閉じこもる原因としては、統合失調に見られる幻聴や幻視などによる恐怖体験によるものや、人間関係のもつれから現実世界でのかかわりをもつことへの意識が薄れることあげられます。

いずれにしても、無為や自閉は活動意欲が低下して、自分の世界に閉じこもり、一日中ベッドで寝て過ごすことや座ってすごすことが多く見受けられます。

無為や自閉状態の患者の観察ポイント

無為や自閉状態の患者は、日常生活動作やセルフケアが不足しがちです。

また内的世界にどのくらい引きこもってしまっているのか、他社とのかかわりはどの程度あるのかなどの観察も必要です。

入院している場合には、同室患者や家族、医療スタッフとのかかわりなどを注意深く観察することが重要です。

観察のポイントは以下のようにまとめられます。

  • 食事量、食事摂取の意欲
  • 睡眠状況、午睡時間、不眠の有無、生活リズムの乱れ
  • 更衣、洗面、入浴の有無
  • 会話の質と量、意思表示の有無、他者との交流
  • 排泄の有無、羞恥心の有無

無為や自閉状態の患者への看護や対応

無為や自閉状態の患者は、自発的な意思表示が難しい状態にあります。看護師はまず、患者の内的世界や自我を脅かさないようにすることが大切です。

患者が何を思い、どのように感じているのか、患者の行動や言葉から読み取る努力が求められます

また、無為や自閉状態の患者は、意欲低下や活動性の低下により、

  • 食事の摂取行為
  • お風呂や洗面などの清潔行為
  • 生活リズムの乱れなど日常生活動作
  • 爪切りや洗濯、掃除などのセルフケア

患者の日常生活動作やセルフケア能力を観察して、介入することが求められます。日常生活動作やセルフケアは、現実的な世界へと目を向ける機会となります。看護師はセルフケア不足を補いながら、患者のペースで生活できるように介入していくことが重要です。

無為や自閉状態の患者は、内的世界や自我を脅かされるとより、内的世界に閉じこもってしまう恐れがあります。患者と関わる際は、患者がどのように感じているのか何をしたいのかなどを観察して、患者のペースで少しでも現実的な世界に戻ることができるように関わることが重要です。


強迫

【基本】強迫性障害の治療と看護を徹底解説【結論:不条理なこととわかっていてもやめられない】

強迫とは、ある考えや行動が、自分の意志とは関係なく出現し、その考えや行動を否定したりやめたりしようとすると、不快に感じたり心配になったりする状態です。

強迫は、強迫思考と強迫行為に分けられ、強迫思考とは自分の意志に反して絶え間なく浮かんでくる考えや思考のことをいい、強迫行為とは強迫思考から生まれる不快感や不安感をなくすための行動を繰り返してしまうことをいいます。何度も同じことを確認したり、何度も手を洗ったりといった強迫症状が主な症状です。




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あなたは鍵をかけたか心配になって一度戻ったり、待ち合わせ時間や場所を何度も確認したりといった経験はありませんか?

しかしその心配といった行為や考えが常軌を逸して、

  • 「手洗いをやめられない」
  • 「何度も確認しても心配」
  • 「鍋の火を消したか不安」

といった症状がある患者と出会ったことはありますか?精神科にいれば何人も出会いますが、一般科だとなかなか出会う機会はないかもしれません。

ここでは、不条理なこととわかっていてもやめられない強迫症状について解説していきます。

✔内容

  • 強迫性障害とは
  • 強迫性障害の治療と看護

管理人ハチ
この記事を書いている私は現役の精神科看護師です。

いままでに多くの強迫性障害の患者さんを見てきた経験も踏まえて記事で解説していきます。

読めば強迫性障害の看護についてざっくりと理解できますよ。

強迫思考と強迫行為

強迫とは、ある考えや行動が、自分の意志とは関係なく出現し、その考えや行動を否定したりやめたりしようとすると、不快に感じたり心配になったりする状態です。

強迫は、

  • 強迫思考
  • 強迫行為

に分けられます。

順番に解説します。

強迫症状は、小児期や青年期、成人期に発症します。おもに25歳以前の発症が70%以上を占めており、35歳異常での発症は15%程度と報告されています。

成人になると発症に男女差はないものの、小児期や青年期には男性よりも女性のほうが発症しやすいといわれています。

強迫思考【自分の意志とは関係なく浮かんでくる考え】

強迫思考とは、自分の意志に反して絶え間なく浮かんでくる考えや思考のことを言います。また、これらの考えや思考が不条理であることが分かっているにも関わず、気にしてしまい、不快感や不安感、心配な気持ちを止めることができない状態です。

例えば、部屋配置が変ったように感じたり、手が何かに触れているのではないかと感じたりと考えや思考が浮かんできて、その考えを払しょくできない状態です。

強迫行為【何度も同じ行動をしてしまう】

強迫行為とは、強迫思考から生まれる不快感や不安感をなくすためにする行動です。主に、同じ行動を繰り返したり、同じ順番や順序に強くこだわりをもつ行動がみられます。
たとえば部屋配置が変ったように感じて何度も動いていないか確認をしたり(確認行為)、手が何か触れたのではないかと心配になり何度も手を洗ったり(洗浄)といった行為が、強迫行為です。

強迫行為では、一度確認や行動をすることで一時的に不快感や不安感を払拭できるものの、消えることはなく、すぐに強迫思考が再燃したり増強したりして、強迫行為を繰り返してしまいます。

強迫患者によって、強迫行為の違いはあるものの、強迫行為の種類の出現率は下記のような報告があります。
強迫行為の種類の出現率
強迫症状を呈している患者の大多数は、何度も確認してしまう確認行為や、何度も手を洗ってしまうなどの洗浄行為がみられます。

  • 不潔恐怖と洗浄
  • 加害恐怖
  • 確認行為
  • 儀式行為
  • 数字へのこだわり
  • 物の配置、対称性などへのこだわり

こういった症状があれば、強迫性障害を疑い受診をオススメします。

強迫性障害の治療と看護

強迫性障害の治療方法は認知行動療法と薬物治療を併用するのが効果的とされています。

  • 認知行動療法
  • 薬物療法

順番に解説します。

基本的には認知行動療法を看護師が担うことが多いので必見です。

認知行動療法

強迫性障害でいう認知行動療法とは、強迫行為をしなくても何も起こらないということを認知していくことが主な目的です。

よくいうのは暴露反応妨害方というもの。

例えば、患者さんの強迫行為が手洗いならば下のようなプロセスを行います。

  • あえて汚いものに触れてもらう(ドアノブを触る、箸をもつなど)
  • 手を洗うのを我慢してもらう
  • 結果的に病気になったり、不利益になることが起こらないことを認知してもらう

認知行動療法を繰り返し行うことで、患者自身の不安や強迫思考が薄れて弱くなっていき、強迫行為をしなくても大丈夫なんだと行動を変えていくことができます。

看護の方でも日勤帯、夜勤帯と強迫行為がひどくなる時間帯を見計らって、認知行動療法を実践できるように患者と時間を調整しておこなっていきます。

薬物療法

薬物療法では主にSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)を使用します。

強迫性障害の患者さんは常に不安の波の中にいます。

まずは強迫思考や強い不安感を取り除くことから始めて徐々に認知行動療法で強迫行為を減らしていく形になります。

強迫症状と統合失調症や妄想との違い

「手が汚れていると思うこと」「鍵が開いているかもしれない」という考えは一見、統合失調症にみられる妄想とおもわれがちですが、統合失調症の妄想とは大きく違います。

例えば統合失調症の妄想であれば、「Aさんが自分を悪く思っている」「電波が自分を苦しめている」といった考えが浮かんでいます。統合失調症の妄想は、その考えに対して確信的で実際に他人が自分を悪く思っている、電波が自分を悪くしていると考えています。

一方の強迫では、「手が汚れている」「鍵が開いている」という考えが浮かんでくるものの、実際には手は汚れていないだろうし、鍵も閉まっているだろうと考えることはできます。自分が間違った考えや行動をしていることへの自覚があります。

つまり、強迫患者は自分の考えや行動は不条理、不合理であることを自覚しているという点、統合失調症の妄想とは大きく違うのです。

強迫について簡単に解説してきました。強迫行為は、患者本人は不条理、不合理であるとわかっていながらもやめることができない行為です。安易にやめればいいということをいっても簡単にやめることはできない行為です。
患者と関わる際にはまず信頼関係の構築が最優先です。そのあとで、強迫行為について自由に話せる関係性を気付き、強迫行為を健康的な対処方法に変えていけるように患者と話し合っていくことが重要となります。


拒絶

【忙しい看護師必見】拒薬や拒否への3つの看護を解説【結論:患者に目標を伝えてチーム対応】

拒絶とは、ある要求や行動を求めた際に、相手が承諾せずに拒否することで、自分を守る防衛反応の一つです。

臨床では、お薬を飲むことは拒否する拒薬、食事を拒否する拒食等の拒絶を目にすることが多いです。また、幻覚や妄想に左右されて医療処置や医療スタッフの介入を拒否する拒絶も見られます。

 




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  • 「薬は絶対飲まない」
  • 「話しかけるな」
  • 「点滴や検査はすべて拒否します」

と言われて、どうしたらよいのか困ったという経験はありませんか。

精神科に転職して看護師をしはじめると、患者に拒否されたり、拒薬されたり、時には完全に拒絶されてしまったりということはよく出会う場面です。

管理人ハチ
現役精神科看護師のわたしもたびたび拒否に遭遇します。

ここではどのように拒薬や拒食、拒否に対応したらよいのかについて下のとおり解説。

✔内容

  • 拒否、拒絶とは
  •  拒否の背景にある理由
  • 臨床での看護や具体的な対応方法

結論、拒否している患者に無理やり対応しようとしても無意味。具体的な目標を伝えたり、単純接触効果で信頼性を築いたり、不安を軽減したりしてとチームで対応するのが正解です。

この辺も踏まえて解説していきます。

あらゆる要求や行動を拒否する拒絶とは

拒絶とは、ある要求や行動を求めた際に、相手が承諾せずに拒否することで、自分を守る防衛反応の一つです。
臨床では、お薬を飲むことは拒否する拒薬食事を拒否する拒食等の拒絶を目にすることが多いです。また、幻覚や妄想に左右されて医療処置や医療スタッフの介入を拒否する拒絶も見られます。

  • お薬を飲むことは拒否する拒薬
  • 食事を拒否する拒食
  • 医療処置や医療スタッフの介入を拒否する拒絶
お薬をのむことを拒否する拒薬

拒薬とは、内服を拒否することを指します。しかしその背景にある理由はさまざまで、ESPなどの副作用を心配して拒薬する場面もあれば、病識がなく「お薬を飲む必要がない」と感じているため拒薬することもあるでしょう。
患者の背景にどのような理由があるのか、その都度アセスメントして対応することが求められます。

食事を拒否する拒食

拒食とは、文字とおり食事や飲水行為を拒否することです。精神科においては、統合失調症や双極性障害などの患者でみられる症状の一つです。
前者は幻覚や妄想といった陽性症状に左右されて食事ができない、もしくはしたくないといいます。妄想により食事や飲み物に毒が入れられているのではないか(被毒妄想)と感じていたり、幻聴に「食べるな」「飲むな」と命令されて食事ができない場合などがあります。
後者は気分変動により「食べる」と言ってみたり、「やっぱり気分が乗らないから食べない」といってみたりして食事に集中できない場合もあります。また、躁状態であれば自分の爽快な気分を害されたことで拒食する場面も見受けられます。

統合失調症や双極性障害のほかに、摂食障害によって拒食する場合もあります。患者のボディイメージのゆがみにより食事をとることや体重が増えることに恐怖があり、拒食します。

さまざまな理由により食事を摂取できず、血液データや精神症状が悪化して食事をよりとれない場合には、隔離処遇や行動制限によって、点滴による補液も検討されます。

医療処置、医療スタッフの介入を拒否する拒絶

医療処置や医療スタッフの介入を拒否する拒絶もしばしば、精神科の臨床では見受けられます。その理由はさまざまで、統合失調症による幻覚や妄想といった陽性症状による拒絶もあれば、行動制限などによる精神科病院への陰性感情、不信感、疑念などにより医療処置を拒否することもあるでしょう。拒絶に対して高圧的な態度で接することはもってのほかですが、焦って患者との距離を急に縮めるとかえって拒絶が強くなる場合もありますので、患者がなぜ拒絶するのか、患者の考えや感情を確認しながら関わることが求められます。

拒絶の背景にある理由とは

拒薬や拒食といった拒絶の背景には必ず患者なりの背景や理由が隠れています。拒絶の理由としては以下のようなものがあげられます。

  • 病識がない
  • 薬による副作用への不安・恐怖
  • 幻覚や妄想といった病的体験
  • 希死念慮、自殺計画による薬のため込み
  • 医療への不信感・疑念
病識がない

精神科でよく問題となるのは、患者の病識の欠如です。重度の幻覚や妄想状態にあると、患者は自分の現在の病状や治療がどのようなものか理解できず、病識がもてないことが良くあります。また、精神病であることを認めたくないために、あえて病識を持たない、病気であると認めたくないという心理状態も内在しているケースも多くあります。米国精神医学会が調査した結果、重度の精神患者の約半数が薬を内服しないということも明らかとなっています。精神科は病識がもってもらうことが難しい点で他の一般科とは異なります。

薬による副作用への不安・恐怖

薬を内服することで錐体外路症状が現れて「元に戻らないのではないか」「こんな副作用があるなんて聞いてない」といった形で、副作用への不安や恐怖から拒薬するケースがあります。また、精神科薬を飲み続けると薬へ依存してしまうのではないかという不安や、精神科薬を飲むと頭がぼーっとして日常生活がしにくという理由から拒薬することもあります。お薬の副作用は、薬量を調整することで改善することを説明して主治医へつなぐことが大切です。

幻覚や妄想といった病的体験

「飲むな」「飲んでも変わらない」といった幻聴、「毒が入れられているかもしれない」「飲むと死んでしまう」といった妄想など、病的体験から拒薬することがあります。幻聴や妄想といった陽性症状をとるために内服は重要ですが、その幻覚や妄想から拒否するという場面はよく出くわします。内服の必要性や、病的体験をなくすために内服してほしいことを丁寧に説明することが大切です。

希死念慮、自殺計画による薬のため込み

自殺をしようと考えている患者の中には、内服したと見せかけて口から吐き出してお薬をため込んで、大量内服(OD)しようと計画している患者もまれにいます。服薬確認の際には、嚥下が行われたか、口の中の確認など、内服が確実に行われたかをチェックすることを忘れずに。

医療への不信感・疑念

本人の意にそぐわない隔離や行動制限などを行った結果、医療への不信感・疑念、医療スタッフへの陰性感情から拒絶を起こすことも少なくありません。医療保護入院、措置入院など精神科特有の入院形態もあるため、本人の意にそぐわないことを行うこともあります。患者は自分が尊重されている、自分の意見や感情、思考を尊重してくれていると感じられるように接し、医療処置への協力をあおぐのが基本となります。

拒薬や拒食、拒否への精神科看護師の臨床での看護や具体的な対応方法

結論、拒否している患者に無理やり対応しようとしても無意味。

拒否への看護や対応方法は下の3つにまとめられます。

  • 具体的な目標を伝える
  • 患者と看護師で信頼関係を築く
  • 不安を軽減のため環境調整やできることを検討

順番に解説します。

具体的な目標を伝える

拒否や拒薬をしている患者はただ単に拒否しているわけではありません。

先程もいったとおり、いずれかの背景で拒否しています。

  • 病識がない
  • 薬による副作用への不安・恐怖
  • 幻覚や妄想といった病的体験
  • 希死念慮、自殺計画による薬のため込み
  • 医療への不信感・疑念

どの理由にも有効なのが、看護師から患者へ退院に向けた具体的な目標を伝えることです。

例えば、

  • 隔離の状態がどうなれば解除になるのか
  • 身体拘束の状態がどうなれば解除になるのか
  • 退院のために必要なことは何んなのか

このあたりを明確にすると患者の拒否が取れることがほとんどです。

気難しい患者と思う前にあなたも考えてみましょう。

精神科は基本的に下のような形態での入院になることがほとんど。

  • 医療保護入院
  • 措置入院
  • 応急入院

基本的に本人が希望したから治療につながっている一般病棟に比べて、本人が希望していないのに無理やり入院させられていると感じている患者がほとんどです。

無理やり、強制的に連れてこられて入院になった状況で、「お薬を飲んでください」「隔離なので部屋に戻ってください」などと言われても拒否するに決まっています。

なので、最初にもいったとおり、まずは患者に目標を明確にして共有しましょう。

このあたりのコミュニケーション技術はLEAPが参考になります。

精神科看護師の必須コミュニケーション技術『LEAP』を徹底解説
【必見】精神科看護師5年が使う魔法のコミュニケーション技術『LEAP』を徹底解説

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患者と看護師で信頼関係を築く

患者と看護師で信頼関係を築くことも重要です。

あなたがわけもわからないひとから

怪しむ人
このジュースおいしから飲んでみなよ・・・ウヘヘ
と言われたらどうですか?

飲みたくありませんよね。

患者の状態で言えば、幻聴や幻覚、思考混乱で私達看護師も怪しい人に見えているもの。

混乱している状況で、『お薬を飲んでください』といっても拒否します。

まずは、信頼関係を築くこと=ラポール形成が重要です。

信頼関係を築くというと大げさに聞こえますが、基本的には以下のことを意識。

  • 単純接触効果=めっちゃ会いにいく
  • 傾聴=基本的に相手の話に共感しつつ効く

2つだけでOKです。

いきなり来た人に「薬飲んでください」と言われるよりも、お茶を汲んできたり、Nsコールにすぐにいったりして顔を覚えてもらった人、もしくは1時間くらい話を聞いてもらった後にお薬を勧められる方が成功率はぐっと高まります。

精神科看護では看護師と患者との信頼関係が重要です。

不安を軽減のため環境調整やできることを検討

不安を軽減するために環境調整したり、看護師ができることを検討するのも大切です。

例えば、

覚醒剤やお薬で依存をするのが怖いと訴えているのであれば、主治医に確認の上で、錠剤の写真付き本を見せつつ、薬効や副作用を説明する。

のもよいですよね。

拒否の背景にある理由に注目してその不安や不満を取り除ければ拒否がなくなるという考え方です。

環境調整って大げさですけど、患者目線で看護師が寄り添う、「あなたのことを心配している」ということが伝われば患者も揺れ動くものです。

拒否していることを無理やり従わせるような看護は看護ではありません。

  • 患者の状態
  • どういう背景での入院か
  • 家族との関係は?
  • 拒否している理由は?

上のとおり具体的に何が拒否の理由なのかをよく考えましょう。

その上で不安や不満の原因を取り除いていけば拒否も取れてきますよ。

拒絶について簡単に解説しました。拒絶の背景にある患者の拒絶する理由を理解しようと努力することが重要となります。患者自身も自分が尊重されている自分のことを考えての行動であるとわかれば協力を得られることも多いので、辛抱強くかかわりましょう。


水中毒

【死の危険も】水中毒(多飲症)の看護を徹底解説【体重測定と飲水チェックが基本】

水中毒とは、多飲症によって体内に大量の水分が貯留した結果、様々な臨床症状が出現する状態です。

水中毒は実際に臨床症状が出現したものを指しますが、水中毒になる前のたくさん水を飲んでいる状態、具体的には1日3L以上水分を摂取する患者は多飲症と言えます。

水中毒、多飲症は、精神障害との関連が明らかとなっており、重症多飲症患者の約8割は、統合失調症の患者と言われています。

参考【死の危険も】水中毒(多飲症)の看護を徹底解説【体重測定と飲水チェックが基本】

 

 

 

依存症・物質使用障害・アディクション(嗜癖)

アディクション(嗜癖、依存)とは、ある習慣から得られる快体験のために、その習慣を維持することが目的になり、自分の意思ではコントロールできなくなり、日常生活に支障をきたす状態

アディクション(嗜癖、依存)とは、ある習慣から得られる快体験のために、その習慣を維持することが目的になり、自分の意思ではコントロールできなくなり、日常生活に支障をきたす状態をいいます。

例えば、アルコール依存症や薬物依存の依存症はアディクションの一種ですし、SNSやネットなどインターネット依存も最近は話題になってきています。

最近では清原和博氏の薬物使用や沢尻エリカ氏のMDMAなどでも薬物使用障害が話題になっていますね。

 

 

希死念慮、自殺企図

【看護師必見】自殺に関連する3つの精神疾患と自殺や希死念慮をまとめて解説

希死念慮とは、自ら意識的な死への願望のことを言い、自殺企図とは、希死念慮のもとに自殺しようと行動することを言います。精神科においてはさまざまな理由で精神的に追い込まれて、「死」しか逃げる方法がないと心理的視野狭窄が起こりやすくなります。自傷などをしている患者では、自殺へのハードルが下がっているため自殺のリスクは高くなるため、対応には注意が必要となります。




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希死念慮や自殺企図のリスクファクターとは

希死念慮や自殺企図のリスクファクターとは

自殺の予防策としてもっとも重要なのは、二次予防の早期発見、早期治療。

患者の自殺への危険因子を理解して、自殺の危険性がどれほどのものかアセスメントしておくことが早期発見には重要です。

では、自殺の危険因子とはどのようなものがあるのか?自殺の危険因子は以下のようなものがあります。

  • 自殺未遂歴:未遂回数、方法、理由
  • 精神障害の有無:統合失調症、気分障害、アルコール依存症の既往
  • サポートの不足:家族協力、婚姻の有無、近親者の死亡
  • 家族の自殺歴:近親者の自殺の有無
  • 年齢:高齢のほうが自殺率高い
  • 喪失体験:破産、失墜、脊損などの外傷、裁判沙汰など
  • 性格:鬱傾向、強迫的、完璧主義、依存的、衝動的
  • 虐待:虐待歴

自殺の危険因子を、本人や家族からの情報提供によって把握しておくことで自殺のリスクがどのくらいあるのかを予測することができます。

  • 自殺の危険因子の数や程度の確認。
  • 患者の現在の抑うつ状態や行動パターンの確認。
  • 自殺の方法や日にちなど具体性があるか。
  • 自殺を防ぐ社会資源の有無、サポート体制、家族協力の有無などの確認。

以上のことを情報収集して、患者の状態をアセスメントして、患者の自殺のリスクがどのくらいあるのかをアセスメントして対応しましょう。

また、具体的な自殺の計画の有無、実際に自殺の道具などをそろえているかなどは重要な情報になりますので、患者のベッドサイドなどをよく観察することも大切です。

自殺のリスクを高める3つの精神疾患【結論:うつ、アルコール、統合失調症】

WHOが行った調査によると、自殺に至った方の90%以上は、自殺をする前に何らかの精神障害の診断に該当する状態であったことがあきらかになっています。

しかし、これだけ多くの人が精神的に追い込まれた状況にあっても、精神科の治療に繋がっていた人は約2割ほどで、それ以外の人は一人で苦しんでいたこともわかっています。

家族や医療スタッフは、患者本人が精神的に追い込まれた状況にあると自殺のリスクが高まること、どのような精神疾患が自殺のリスクを高めるのか知り、早めの対応ができるようにする必要があります。

自殺のリスクを高める精神疾患として有名なのは下の3つです。

  • うつ病
  • 統合失調症
  • アルコール依存症

順番に解説します。

うつ病

うつ状態にある患者は、孤独感や無価値観ぎ内在していることがおおく、悲観的になったり、気分変動も大きく自殺のリスクが高いです。

参考【必読】精神科歴5年が双極性障害(気分障害やうつ病)アセスメントと看護計画を解説

統合失調症

統合失調症では、陽性症状に起因する自殺と、慢性期の生活でうつ状態が起因する自殺があります
陽性症状に起因する自殺では、「おまえなんか死んでしまえ」「楽になりなさい」などの幻覚や妄想が修正できず、病的体験に左右されて、自傷行為や自殺企図を起こすケースがあります。
慢性期の生活に起因する自殺は、病気をかかえながらの生活で疲弊し、生きにくさや、孤独感、無価値観が高まり自殺に至るケースです。

アルコール依存症

アルコール依存症では、離脱症状によるうつ状態、焦燥感など精神的な状態に加えて、判断力や注意力が低下するため、死へのハードルは下がりやすいです。またアルコール依存症と精神疾患とを併発するケースも少なくなく、うつ病などを併発している場合には自殺の危険性はより高まります。
参考【精神科歴5年】統合失調症の急性期と慢性期看護を徹底解説【観察アセスメント目標】

管理人ハチ
ここからは希死念慮や自殺企図がどのような状態かを解説していきます。

希死念慮や自殺企図はどのような状態

希死念慮や自殺企図、自殺既遂、自殺未遂など、自殺に関する言葉はいろいろありますが、どれかどのような意味があるのかイマイチわからないという看護師も少なからずいると思います。はじめに言葉の意味をしって、看護記録に正しく記録できるようにしましょう。

  • 希死念慮とは、自ら意識的な死への願望のことを言います。
  • 自殺企図とは、希死念慮のもとに自殺しようと行動することを言います。
  • 自殺企図の結果、死に切ってしまった場合を自殺や自殺既遂と言います。
  • 自殺企図の結果、死にきれなかった場合を自殺未遂と言います。

また希死念慮や自殺企図は程度の違いはあれど、願望がある場合には希死念慮と、実際に首を吊ろうとしたり飛び降りようとしたりした場合には自殺企図といいます。

希死念慮がある場合には、自殺企図に至らずとも、自分の身体を傷つける自傷行為を行っていることもあります。自傷がある場合にも、希死念慮が高まっていることや自殺企図をするハードルが下がっていることがあります。

希死念慮や自殺企図がある患者の共通の心理状態、精神状態

自殺企図をする背景には、単純に「死にたい」という感情だけがあるわけではありません。希死念慮や自殺企図がある患者には共通して、肉体的にも精神的にも追い込まれた状態にあり、その問題や困難、状況、状態を「終わらせたい」「逃げたい」「楽になりたい」といった心理状態にあります。今まさに自殺しようとしている瞬間も「死にたい」という感情よりも、絶望感や無価値観にとらわれて自殺しようとしているのです。

希死念慮や自殺企図を起こす患者には共通の心理状態があり、以下の通りにまとめられます。

  • 極度の孤独感
  • 無価値観
  • 強い怒りや不満
  • 永遠にこの状況が変わらないという確信や不安
  • 生きることへのあきらめ

順番に解説します。

一人だと感じる極度の孤独感

希死念慮や自殺企図を起こす患者は、幼少ないし青年期頃から、自分は一人だと極度の孤独感に悩んでいるケースが多い。家族や周囲の人が助けの手を差し伸べているにもかかわらず帰属意識が薄く孤立感や孤独感を感じている。

生きるに値しないと感じる無価値観

「人に迷惑をかけているから生きている意味がない」「自分がいない方がみんな幸せになる」と自分自身の存在価値を否定しがちなのも特徴的です。無価値観が強まれば強まるだけ自殺へのハードルは下がります。

強い怒りや不満

孤独感や無価値観がある上で、そんな状況を打破できない自分や家族、周囲の人への強い怒りや不満を感じていることも多い

永遠にこの状況が変わらないという確信や不安

希死念慮がある患者は、今の状況を打破する術がなく、永遠にこの状況が続くという確信や不安も感じています死ぬことが唯一の逃げる方法と考えてしまうのもこの確信があるためです。

生きることへのあきらめ

どうにも変わらない状況に悩み疲れ「もう疲れてしまった」「どうでもよくなってきた」と状況を打破することへのあきらめや、生きることへのあきらめを感じること多く、この段階になると、希死念慮が弱くなったとさえ感じます。しかしこれは、自殺企図の前駆症状であることが多く、リスクが高まっているとアセスメントすべき状態です。

自殺と関連する精神疾患について解説しました。うつ病、アルコール依存症、統合失調症の患者で、死をほのめかす発言や実際に自殺未遂をしているなどの情報があれば、注意が必要なケースとなります。実際にいま自殺に対する発言がなくとも、絶望感や無価値観などに悩まされていることもあります。
自殺することでしか解決できないという心理的視野狭窄を起こしていることもありますので、患者の発言や行動を注意深く観察し事前に介入できるようにしましょう。


 

看護のお仕事

【まとめ】精神疾患一覧をみてまわることで看護力が爆上がりする!

【まとめ】精神疾患一覧をみてまわることで看護力が爆上がりする!

精神科でよくみられる症状について解説をしました。

ここに記載されている情報以外にもさまざまな症状や状態があります。

 

また、精神症状が悪く症状同士が重なり合っている場合も多いため、柔軟な対応が求められます。コミュニケーション能力が求められるのが精神科ですが、看護師のキャラクターの違いによって、相談しやすい患者や相談しにくい患者と分かれます。

 

 

ある患者はあなたに相談しなくても、ある患者はあなたに相談しやすいといったことがよくあります。自分を無理に作らず、患者の考えや行動に寄り添って対応することが一番大切かもしれません。

ちなみに精神科看護に興味のあるあなたは下の記事が参考になります。内科や一般科で消耗しているのなら精神科でのまったりとコミュニケーション中心の看護が合っているかも。つらい状況を抜け出すなら行動あるのみですね。
参考【2020年版】精神科看護師への転職マニュアル【結論:ラクに看護できます】

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ハチ

副業ブロガー / 現役看護師【経歴】国立大学▶︎公務員(保健師)▶︎縦社会と副業禁止で退職決意▶︎精神科看護師▶︎3サイト運営するが月1万円収益で3年ほど彷徨う▶︎培ったノウハウを駆使してhachiblog立ち上げ●嫁1太郎1姫と暮らす>>ハチのプロフィール

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