精神科看護

【必読】精神科歴5年が双極性障害(気分障害やうつ病)アセスメントと看護計画を解説

2021年3月17日

【必読】精神科歴5年が双極性障害(気分障害やうつ病)アセスメントと看護計画を解説

もくじ

悩む看護師
気分障害の看護を知りたい看護師『双極性感情障害の看護ってどうやってるの?看護計画やアセスメント、気をつけることとかまとめて教えてほしいなぁ。』

こういった疑問に答えします。

この記事は、現役精神科看護師のハチが、経験に基づいて記入しています。

この記事の内容は下のとおり。

  • 気分障害の症状
  • 治療
  • 看護
  • 具体的な対応方法

を解説してきます。

この記事を読めば、うつ病の患者や双極性患者の対応方法や看護が少し見えてきますよ。

 

 

看護のお仕事

気分障害とは

気分障害とは

気分障害とは、気分と意欲が障害される精神障害のことをいいます。

症状としては、

  • 抑うつ気分や意欲低下がみられるうつ病相
  • 気分高揚や活動性の亢進がみられる躁病相

に分けられます。

また気分障害は、

  • うつ病相と躁病相を交互に反復的、周期的に繰り返す双極性障害
  • どちらか一方のみを繰り返す単極性

とに分けられます。

 

気分症がの原因·誘因とは

気分症がの原因·誘因とは

単極性·双極性障害ともに明確な原因は完全には解明されていません。

 

もともと遺伝子的要因のある人に、精神的·身体的ストレス要因が加わる事で気分障害が発症すると考えられています。

 

遺伝子的要因 家族にうつ病や双極性障害の方がいる、ストレスに脆弱な性格
精神的なストレス要因 家族や友人との死別、人間関係の不良や破綻、家族との不和、財産や社会的な地位の喪失、就職や退職、結婚や離婚、転勤、引っ越しなどの環境の変化
身体的なストレス要因 睡眠不足、慢性的疲労、甲状腺機能障害、がん、脳血管疾患、HIV感染などの感染症、月経期や出産前後、更年期障害などのホルモンバランスの調整不良、ステロイドや高圧薬の内服

 

特にうつ病前性格としてはメランコリー親和型性格が有名です。

 

うつ病になる人は考え方に癖や独特の傾向があります。
考え方はその人が生まれ持ったものや、環境、人生経験の中で育って行くものなので無意識のうちに染みついています。そのため修正も難しいものです。

うつ病になり易い性格傾向としては、先読み思考、白黒思考、べき(must)思考、深読み思考、自己判思考があげられます。

 

メランコリー親和型性格

  • 秩序を重んじる
  • 他人に気を使う
  • 頼まれるとNOとは言えない、断れない
  • 真面目、正直
  • 仕事熱心
  • 過度に良心的、小心者
  • 消極的、保守的
  • 頑固
  • わがまま

 

 

気分障害の分類

気分障害の分類

気分障害は気分と意欲が障害される病気すべてを指しているのでわかりにくいですが、本的には、うつ病相と躁病相があるかないかにわけて考えれば理解しやすいです。

  • うつ症状だけがあるものを単極性うつ病
  • 単極性うつ病の中でも重度のうつ状態のものは大うつ病性障害
  • うつ病相と躁病相の両方が見られる場合には双極性障害

と呼びます。

 

余談になりますが、うつ病相のことを抑うつエピソード、躁病相のことを躁病エピソードと呼ぶこともあります。うつ病相、躁病相、抑うつエピソード、躁病エピソードと書くと途端に難しく聞こえてきますね。

 

以下の説明ではなるべくわかりやすくうつ状態、躁状態を解説します。

 

気分障害の症状

うつ病相(うつ状態)の症状

うつ病相での2つの基本的な症状は「抑うつ気分」と「興味·喜びの喪失」です。

どちらの症状も見られないときは典型的なうつ病とは言わないので、ただ単純に「鬱だー」というのはうつ病ではありません。抑うつ気分のときにはそのような発言をする気力もなくなっています。

うつ病相(うつ状態では)の主な症状は以下のようなものがあげられます。

うつ病相の主な症状

  • 抑うつ気分:気持ちが滅入る、気持ちが沈む
  • 興味,喜びの喪失:趣味が全く楽しめない、世の中の事に関心がなくなる
  • 食欲低下:食べ物の味がしない、おいしくない
  • 不眠:寝つきが悪い、夜中に何度も起きる
  • 精神運動制止:話すことも動く事も遅くなる、できなくなる
  • 易疲労感:気力の減退歯みがきや顔洗いがめんどう、お風呂に入る気力がない
  • 無価値感:罪業感自分には存在価値がない、全部自分が悪いのだ
  • 思考力·集中力の低下:新聞やテレビに集中出来ない
  • 希死念慮、自殺企図:死に方を考えてしまう、反復的に死を連想してしまう

 

また、うつ状態のときにも統合失調症とよく似た幻覚·妄想といった精神症状がみられるきもあり、精査が難しい場合があります。

うつ病でみられる妄想は、微小妄想です。微小妄想とはいかのようなものがあります。

貧困妄想 (実際にはお金に困っていないのに)「お金がないから入院費が払えない」「生活していけない」
罪業妄想 (実際には罪がないにもかかわらず)「とても大変なことをしてしまった償わなくてわ」
心気妄想 (実際には身体疾患がないのに)「治らない病気にかかってしまった」「自分は癌だから死期が近い」

 

 

その他には、身体的な症状を訴える患者もいます。

身体的な症状とは、頭痛やめまい、肩こり、動悸、下痢、便秘、吐き気など多岐に渡ります。とくにうつ病の高齢者にこのような身体症状の訴えが現れやすいです。

 

躁病相(躁状態)の症状

躁状態の2つの基本症状は、

  • 「気分高揚感」
  • 「イライラして怒りっぽい」


その他にも以下にまとめる7症状があります。

躁病相(躁状態)の症状

  • 高揚気分:ハイテンションで手がつけられない程の活動性がある
  • イライラ、易怒性:些細なことが気になったり、言葉尻に怒鳴ったりする
  • 自尊心の肥大:自分が強くなった、偉くなった様に感じる
  • 睡眠欲求の減少:眠らなくても平気、もしくは寝れない
  • 多弁:猛烈な勢いで話し続ける 息つく暇もない
  • 観念奔逸:考えが次から次へと浮かんで思考が止められない

うつ症状と同様で、こちらも幻覚や妄想が見られることがあります。

特にうつ状態とは対照的に、躁状態では「◯◯はおれが開発したんだぞ」といった発明妄想や、「天皇家の血筋だ」といった血統妄想が見られます。
これらは誇大妄想とも呼びます。

 

 

看護のお仕事

気分障害の治療は薬物療法、休息、精神療法の3本柱

気分障害の治療は薬物療法、休息、精神療法の3本柱

気分障害の治療はうつ状態のときと、躁状態のときとで治療方法が異なります。

基本的な治療は

  • 薬物療法
  • 休息
  • 精神療法

の3本柱です。

 

薬物療法は、うつ状態では抗うつ薬、躁状態では気分安定薬を使い症状の緩和を図ります。

またうつ状態にしろ、躁状態にしろ、薬物療法により症状を軽減して、眠剤などを利用しながらまずは睡眠をとって休息をとってもらうことも重要です。

患者本人の状態を一番把握しているのは看護師なので、症状を逐一主治医へ報告しましょう。

精神療法としては、短時間でも行える小精神療法の「笠原の7か条」が効果的です。

「笠原の7か条」は精神科医の笠原嘉氏が提唱した精神療法です。患者の性格や考え方を変えることに焦点を置かず、患者従来の生活や状態に回復させることを目指すものです。30年以上も前に提唱されたものですが、うつ病治療の本質ともいえるものなので、現在でも精神科医が診察に取り入れているので、看護師も知っておくべき考え方でしょう。

 

うつ病の小精神療法に関する「笠原の7か条」

  1. うつ病は病気であり,単に怠けではないことを認識してもらう
  2. できる限り休養をとることが必要
  3. 抗うつ薬を十分量,十分な期間投与し,欠かさず服用するよう指導する
  4. 治療にはおよそ3か月かかることを告げる
  5. 一進一退があることを納得してもらう
  6. 自殺しないように誓約してもらう
  7. 治療が終了するまで人生における重大な決定は延期する

上は基本の考え方であり現代では少し修正されている部分もあります。

 

うつ状態への薬物治療

うつ状態への薬物治療

うつ状態に関与している脳内の神経伝達物質は、ドパミン、ノルアドレナリン、セロトニンといったものがあります。

 

薬物療法で、神経伝達物質の量を調整することでうつ状態を改善させます。

抗うつ薬には以下のようなものがあります。

三環系抗うつ薬 アナフラニール・トフラニール・トリプタノール・アモキサン・ノリトレン
四環系抗うつ薬 ルジオミール・テトラミド
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬) パキシル・ジェイゾロフト・レクサプロ・デプロメール/ルボックス
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬) サインバルタ・イフェクサー・トレドミン
NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬) リフレックス/レメロン

三環系から下にいけばいくほど、新しい薬剤となっています。

三環系抗うつ薬は、抗うつ効果は強い一方で副作用が出やすいというデメリットがあります。そこで開発されたのが四環系やSSRI、SNRI、NaSSAなどの薬剤です。

うつ状態が軽度の場合には、薬剤に頼らずに精神療法や心理教育を行いながらうつ症状の改善を目指しますが、うつ状態が中等度や重度の場合には抗うつ薬を使用します。

基本的には新しい薬剤を使って効果を見ますが、新しい薬剤の効果が薄い場合には、抗うつ効果の強い三環系、抗精神病薬などを併用しながら治療を行っています。

 

抗うつ薬を使用する場合の注意点は、当然ながら副作用の出現です。

抗うつ薬を24歳以下の若年患者に使用すると自殺企図や自傷行為などのリスクが増加します。

また、不安や焦燥感などの症状を呈するアクチベーション症候群や、セロトニンの効果が極端に抑えられて中毒症状を呈するセロトニン症候群などにも注意が必要です。

症候群名 症状
アクチベーション症候群 不安、焦燥感、パニック発作、不眠、衝動性、攻撃性の亢進、アカシジア、軽躁状態
セロトニン症候群 下痢、発汗、新鮮、運動失調、ミオクローヌス、腱反射の亢進、失見当識、震え、固縮、発熱、せん妄、昏睡、てんかん重責発作、心血管系の虚脱、死

上記の抗うつ病薬の効果が現れるまでの間に数日かかることもあるため、うつ状態の不安や不眠に対してはベンゾジアゼピン系睡眠薬やベンゾジアゼピン系抗不安薬などを使用することも有効とされています。

しかし、ベンゾジアゼピン系の薬剤は依存性があるため漫然と継続使用しないように主治医と連携が必要になります。

 

 

躁状態への薬物治療

躁状態への薬物治療

躁状態への薬物治療で、最も推奨されるのはリチウムです。

 

リチウムによって躁状態が改善されるほか、双極性障害における死亡率も有意に低下します。

しかしリチウムは血中濃度がある程度安定しないと効果が現れません。つまり入院時や急を要するときのリチウムには即効性がありません

そこで躁状態による多弁さ、イライラ、易怒性、高揚感を抑えるため、鎮静作用のある非定型抗精神病薬(オランザピン、アリピプラゾール、クエチアピン、リスペリドン)を初期に併用することが多いです。

 

リチウムの次に推奨される薬物は、バルプロ酸、カルバマゼピンなどの気分安定薬、上記の非定型抗精神病薬、それらの併用です。

 

リチウムやバルプロ酸、カルバマゼピンなどの気分安定薬は血中濃度が安定するまでは効果がでないため、採血による血中濃度の測定が定期的に行われます。下に気分安定薬の目標血中濃度を載せておきますので、主治医と連携して血中濃度の確認を行ってくださいね。

気分安定薬名 躁状態治療血中濃度 病相予防濃度(維持療法)
リチウム 0.4~1.2mEq/L 0.3~0.8mEq/L
バルプロ酸 50~125μg/ml 40~100μg/ml
カルバマゼピン 4~12μg/ml 2~10μg/ml

 

抗うつ薬と同様、気分安定薬も副作用に注意が必要です。

気分安定薬は血中濃度が重要で、血中濃度が高くなりすぎると中毒症状が現れます。

リチウム中毒は初期症状として食欲低下・吐き気・嘔吐・下痢などの消化器症状、振戦・傾眠・錯乱などの中枢神経症状、運動障害・運動失調などの運動機能症状、発熱・発汗などの全身症状が現れます。

症状がみられた時点でリチウムの中止や減量を行います。

リチウム中毒が進行すると腎臓へのダメージにより急性腎不全となり、電解質異常や全身痙攣、ミオクローヌスなど生命を脅かすことになります。

 

 

気分障害に対しての精神療法

気分障害に対しての精神療法

気分障害における精神療法は、うつ状態や躁状態の原因になったストレスを振り返って、その対処方法を考え、調子のよい時期を維持すること、また再発を防ぐ目的で行われます。

精神療法の考え方は、上記の「笠原の7か条」です。

また、具体的な精神療法の方法は、「認知行動療法」「対人関係療法」があります。

 

認知行動療法とは物事の考え方や受け取り方に働きかけて、気持ちを楽にしたり、自分の行動をコントロールする治療方法です。

たとえば、「挨拶したときに無視されたと感じた」患者がいたとします。

その場合には、「無視された」のでなく「聞こえていなかったかもしれない」と思考を切り替える練習をしたり、「相手にも事情があったのかもしれない」「自分も忙しいときには返事できない」と考えたり、無視されたと感じている自分の気持ちに気づき別の行動でストレスをためないようにしたりといった感じです。

認知行動療法を通して、「自分の心のあり方をコントロールする技術」を練習します。

認知行動療法の技術の例

  • 思考のバランスをとって、心を軽くする技術
  • 行動を通して、心を軽くする技術
  • 期待する現実をつくリ出して、心を軽くする技術
  • 問題を解決して、心を軽くする技術
  • リラックスする技術
  • 自分を伝えて、心を軽くする技術
  • 心の法則を書き換えて、心を軽くする技術

 

 

対人関係療法は、他者との関係を見つめ、その対処方法を見つけていく心理療法です。

うつ状態を引き起こす原因・要因となった対人関係の問題を解消することで、ストレスを軽減させる目的で行います。

人と人との関係なので、なかなか対人関係が改善されるケースは少ないですが、距離間を取る練習や言葉かけの練習などを通して対人関係の改善を目指します。

対人関係が改善されると患者の周りの方にも受け入れやすくなるので、回復に向けた仕事場でのサポートや家族からのサポートなどを受けやすくなるメリットがあります。

 

反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)

反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)

反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS) とは、特殊な刺激コイルを使用して、頭の外側から逃避や頭蓋骨を通して、磁気刺激を脳に与えて、抗うつ作用をもたらす治療です。

全身麻酔下で行う必要があるmECTに比べて、麻酔がいらないため簡易に行うことができます。

また狙いたい部位に局所的に刺激を与えることができ、刺激のパターンを変えることで、促通性や抑制性のどちらにも刺激が可能です。

世界各国で反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)によってうつ病に効果があったという結果が報告されています。また難治性うつ病患者にも一定の治療効果がことも分かってきています。

日本では反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)は保険適応になっていませんので、まだ先の話になりますが、近い将来、薬物療法と反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)を選べる時代がくることが期待されています。

 

 

うつ状態への看護の実際

うつ状態への看護の実際

自殺予防

自殺予防

鬱状態であろうとなかろうと単極性うつ病、双極性障害など気分障害の患者は常に自殺の危険性があると考えましょう。

特に鬱状態の初期、鬱状態から身体的なエネルギーが回復しはじめた時がもっとも危ないです。

身体が動くようになって来たけれども、まだ精神的にはうつ状態というギャップが生まれるからです。

自殺直前には特徴的なサインが見られることがあるため患者の変化にアンテナを張り巡らせておくことが看護師には求められます。

自殺のサイン

  • 自責的,罪業的な訴え:「自分のせいで周りの人が不幸になる」「生きる価値のない人間だ」
  • 身体症状、心気的訴え:「大病にかかってしまった」「あと1カ月で死んでしまう」
  • 状況に合わない感謝:「いつもお世話になりまして」「どうもありがとうございました」
  • 貧困妄想:「お金が無くて生活がままならない」「このままでは家族を養えない」
  • 悲観的·絶望的な訴え:「もうこんな人生はおしまいにしたい」「お先真っ暗だ」

 

自傷や自殺の道具や手段をなくす

自傷や自殺の道具や手段をなくす

患者の療養環境から自殺の道具となりそうなものや利用できそうなものをなくす
たとえば以下のようなものがあります。

自殺の道具、手段となりうるもの

  • ベルト
  • 衣類
  • カーテン
  • 延長コード
  • ガラス製品
  • ペンや鋭利な筆記用具

 

患者を物理的にも心理的にも孤独にしない

患者を物理的にも心理的にも孤独にしない

うつ状態の患者が自殺に傾倒していくのは、物理的に孤独を感じたり、誰にもわかってもらえないと心理的に孤独になった時です。

まず物理的に1人にしないことが重要です。入院中であれば、看護師の目がなるべく届きやすい居室への転室を検討したり、患者の所在を逐一確認したりと物理的に孤独にしないこと。

また、心理的に孤独にならない様に声掛けにも注意が必要です。看護師や家族、他人が自分のことをわかってくれない、自分はだれにも理解されないと感じると自殺へのハードルが下がります。

患者を観察することはもちろんですが、患者の行動や言動の変化に気付き、患者の死にたいほど苦しいつらい気持ちに寄り添うことが大切です。

たとえば風景画集を見たり、塗り絵などをしながら話すことも時には必要です。患者が話さなくても次々と話題を変える必要はありません。沈黙もコミュニケーションの一つです。

うつ状態になると反応性が低下したり、意欲が低下したりするため沈黙が現れるのは自然な反応です。
無理に話させたり、医療者ばかりが話したりすると、かえって症状を悪化させます。

 

保護室(隔離室)を活用する

保護室(隔離室)を活用する

自殺のリスクが高い場合には保護室の活用も主治医へ相談する必要があります。

自殺をしようと考えている患者は看護師や看護補助者の動きをよく見ています。

たとえば私の経験ですが、日勤から準夜へ申し送りする17時台、日勤スタッフは「やっと終わった」と気が緩む時間帯ですし、準夜スタッフは申し送りがずれ込んでステーションに居る時間帯です。この時間帯はどうしてもスタッフの観察が手薄となり、その隙に衣類で首を絞めつけて自殺を試みた患者がいました。

閉鎖病棟でどんなに自殺の道具や手段を除去しても、自殺することにとらわれた患者はどのような、どんな方法でも自殺をしようとします。

自殺のリスクが高く、看護師の観察にも限界があるときには、やむおえないですが、保護室の活用も検討しましょう。

 

必ず良くなることを保証する

必ず良くなることを保証する

看護師より医師から伝えられる方がいいことですが、睡眠や休息をしっかりとり、薬物療法が安定すれば、必ず良くなることを伝えましょう

うつ状態では、自分が病気であるという病識が薄く、何も出来ない自分を責めたり、もっと頑張らなくてはと自分を無理矢理鼓舞したりする事も少なくありません。

そうしているうち一向に良くならない自分に絶望していきます。

医療者が「病状はよくなると保証すること」で患者が安心することもあります。

 

休息,睡眠を促す

休息,睡眠を促す

統合失調症にしろ、気分障害にしろ休息や睡眠はもっとも重要な治療の一つです。

うつ状態であれば活動エネルギーを浪費しているため、うつ状態の症状が縮小するまでは休息を促しましょう。

基本的に規則正しく睡眠をとることが望ましいですが、起床時間を厳格に決めることは患者の心的な負担となる為、入院直後等は明確な起床時間を設定せずに休息を優先することもあります。昼夜逆転にならないよう注意が必要です。ま、なってしまう事が多いんですけどね笑

休息や睡眠の実際の看護

  • 安心して睡眠できる方法を考える:深呼吸や自律訓練法の呼吸を試す、足浴、アロマ、ヨガやストレッチの実践
  • 日中の活動を増やす:作業療法の導入、散歩やラジオ体操をする
  • 不安を傾聴する:眠ってもらうために患者と話す時間をないがしろにするよりは、何が不安なのかを患者に言語化してもらうことが大切。

 

服薬の必要性を説明する

服薬の必要性を説明する

上記でも触れましたが、抗うつ薬や気分安定薬は血中濃度が安定するまで時間がかかります。逆に副作用の方が先に出現することも多い為、患者が内服を渋ったり、やめてしまったりすることもあります。

お薬が効くまでに時間を要する事、口渇や便秘等の副作用が出やすいことを説明しておき内服の必要性を確認しておきましょう。

また、副作用が出た際には知らせて欲しいことを伝え、副作用に対応した対処法や内服の調整を主冶医と相談しましょう。

 

励まし厳禁

うつ状態の患者への対応では基本となるのでいうまでもありませんが、安易な励ましは避けましょう。

うつ状態の患者は、悲観的、絶望的に物事を捉えやすいです。なにもできない自分への焦燥感、自己肯定感も低い為、頑張れなどの励ましは患者を心理的に追い込みます。

患者に今のうつ状態が悪い事で、それをどうにかする努力をしなくてはいけないと思わせることは危険です。

 

 

躁状態への看護

躁状態への看護

興奮や攻撃性による危険を避ける

躁状態の患者は、ささいなことで興奮したり怒ったりすることがあります。

また、幻覚や妄想などの症状も見られるため、危険性はより増します。

まず、患者とは適度な距離感を保ちながら関わること、興奮や暴言、攻撃性が高い時には複数名で対応することが原則です。

あまりにも状態が悪い場合には、保護室(隔離室)を活動して刺激の遮断を行うことも検討します。

保護室に入室したからといって危険性がないわけではなく、壁叩きやドア蹴りなどのリスクはありますし、ベッドやトイレなどの破壊行為が見られることもあります。

看護師の声掛けやしぐさが刺激になることもあるため、穏やか口調と表情で対応し、興奮が激しい際には無理せず対応しましょう。

 

金銭管理

すべての躁状態の患者に当てはまるわけでありませんが、だいたいの患者は躁状態になると浪費傾向になります。

入院してもそう傾向はすぐには改善しません。

売店でこれをかってくれ、ネットでこれを買いたいと訴えはさまざまですが、必要時医師の指示のもとで看護師が金銭管理を行う場合があります。家族にも同意を得る 要があるのは忘れずに。

浪費といっても一般的な浪費ではなく、常軌を逸している事もしばしばです。例えばブランド物のパックを大量に購入したり、息もしないエステやゴルフクラブに入会したりと際限なく使います。

看護師や家族の対応としては、今現在いくらあるからここまでしか使えないと現実的な対応をその都度行っていきます

 

 

双極性感情障害とは

悩む看護師

双極性障害で見られる躁状態や抑うつ状態の患者への対応や看護ってどうしたらいいの?看護計画とかアセスメントとか実際のケアを教えてほしい。

こういった疑問にお答えします。

 

管理人ハチ
実際、私も精神科に初任の頃、双極性感情障害の患者さんに捕まって1時間近く対応した経験があります。・・・何度も笑

 

 

同調しすぎても、冷静すぎる対応でも躁状態を増長してしまうので困ってしまいますよね。

ここでは、双極性感情障害について下のとおり解説。

 

✔本記事の内容

  • 双極性感情障害とは
  • 躁状態での看護
  • 抑うつ状態での看護

などなどをまとめて解説。

 

この記事を読めば、ざっくりと双極性感情障害の臨床での看護や、看護学生の実習での精神科アセスメントの方法などがわかりますよ。

 

精神科の看護をもっと知りたい人は下の記事が参考になります。

参考【2021年最新】精神科看護師転職マニュアル【仕事内容・役割・やりがい徹底解説】
参考【保存版】精神科看護師歴5年が教える精神看護の勉強法とおすすめ本を徹底解説

 

双極性感情障害とは、気分障害の一部で気分高揚感がおこる躁状態と、気分の落ち込みを引き起こす抑うつ状態とを行き来する病気です。

 

双極性障害の躁状態では、気分の高揚、観念奔逸などが特徴的です。爽快な気分である一方で、しばしば度を超えた行動が見られたり、ちょっとしたことでもイライラや興奮したりします。下のようなエピソードが主にあります。

  • 自尊心の誇大または肥大
  • 睡眠欲求の減少(数時間の睡眠で良く休めたと思う)。
  • 多弁で、周囲の状況を気にせずにずっと話続けようとする。
  • 観念奔逸(考えがまとまらず、いろいろなアイデアが 継ぐ次に浮かんでくる)。
  • 注意散漫(集中できずに、すぐに他のことへ関心が向いて、 次々と転じる)。
  • 活動性の亢進(社会的、性的、職業的な面で次から次へと 行動を起こす。じっとしていられない)。
  • 快楽的活動への他人から見て明らかに不毛なことに熱中する(生活費の全てを通販で使い果たす、異性に次々に好意を寄せる)。

 

逆に双極性感情障害の抑うつ状態では、気分の落ち込み、意欲低下、希死念慮などが見られます。

 

 

患者には、自覚症状がない場合が多いですが、日常生活がままならないこともあります。たとえば、無駄な買い物をしてしまったり、食事量をコントロールできなかったり、トイレやお風呂などの行為もできていなかったりします。

 

爽快な気分になっていると、患者は自分が病気であるという病識も薄れていき、通院や内服の必要性を感じなくなります。結果、通院や内服の中断、入院治療に抵抗をみせます。

思考や行動が抑えられないこと、日常生活がままならないこと、病識にかけて治療に非協力的であることなどが躁状態では看護問題となってきます。

 

管理人ハチ
ここからは躁状態と抑うつ状態とを順番に解説していきます。

 

躁状態ってどんな状態?

躁は、抑うつと対極に位置づけられる精神的活動性と身体的活動性が亢進した状態をいいます。具体的に躁状態とは、爽快な気分になったり気分が高揚していい気分になる躁性感情障害、よく話すようになったり落ち着いていられなくなる意欲や行為の障害、次々と話が移り変わる観念奔逸などが見られる状態です。また、なかなか寝つけない睡眠障害や、過食気味になる食欲の亢進も一緒に見られることが多いです。

躁状態になると、自己中心的な考え方をして、自分の行動を妨げられたり、考えを否定されたりすると、イライラしたり興奮したりする易刺激的な状態になります。

 

 

躁状態ではどんな症状がみられるの?

躁状態では下のような症状が見られます。

  • テンションが高い爽快気分
  • 考えが次から次へとでてくる観念奔逸
  • さまざまな症状につながる思考や行動の障害
  • 多動や思考奔逸からの睡眠障害
  • 体重減少していく栄養障害

順番に解説します。

 

テンションが高い爽快気分

躁状態となっている患者は、爽快な気分が湧き水のように湧いてくるため、気分が高揚して、自分自身を過大に評価して自信に満ち満ち溢れている状態となる。これを爽快気分といいます。自信や希望に満ち溢れ、自分が優秀であると感じることも多くあります。爽快な気分なため、患者はよくしゃべり、声高になります。

また自分の考えや行動を止めようとしたり注意したりすると、攻撃的になる場合もあります。

 

考えが次から次へとでてくる観念奔逸

観念奔逸とは、考えが次々と溢れ出して、話の内容が飛躍したり、現実離れしたことを考えてしまう状態です。たとえば、食事の話をしていたと思ったら、次には睡眠の話になったりと、話の内容にまとまりがなくなるのも特徴です。

 

さまざまな症状につながる思考や行動の障害

患者は考えが次々と浮かび上がるため、やりたいことや行動にもまとまりがなくなり、多弁、多動の状態になります。これを意欲や行動が障害された状態です。

昼夜問わずに電話や連絡を頻回にしたり、不要なものをたくさん買ったり、規制速度を大きく超えた無謀な運転をしたりと、行動にもまとまりがなくなります。

 

多動や思考奔逸からの睡眠障害

躁状態の患者は、睡眠の欲求が少なくなります。その結果なかなか床につけなかったり、寝たと思ってもすぐに床から出てきたりします。また寝たとしても睡眠が浅く、小さな物音でも起きてしまいます。

また、睡眠が短くても、患者は疲労感を感じていないことも多いです。

 

体重減少していく栄養障害

患者は、躁状態になると、暴飲、暴食など過食傾向になる。一方で、摂取カロリーに比較して、多動や活動性の亢進により消費カロリーが多く、体重減少しやすい。

 

 

 

双極性障害に見られる躁状態の看護、対応とは

躁状態で問題となる以下のことに対応した看護を行うことが大切になります。

  1. 思考や行動が抑えられない
  2. 日常生活がままならない
  3. 病識にかけて治療に非協力的である

これらの症状に対応した看護は以下のようになります。

 

 

思考や行動の亢進を抑える

躁状態の患者は、自己中心的な思考やコントロールを失った状態にあるため、言動や行動がまとまらず、周囲への影響が大きくなる。たとえば、無駄な運転をしようとしたり脱衣したりする逸脱行為、友人や家族への暴言暴力などといった危険行為や迷惑行為がある。

まずは、個室や刺激の少ない環境を患者に提供して、患者自身や周囲への影響を最小限にとどめることが重要である。

躁状態では、ささいな言葉や医療スタッフの関わりへのクレームなど易刺激的となる。

患者に直接関わる看護師は、声のトーンや表情を落ち着いたものにして関わる。また、患者が明らかにおかしなことや要求をしてきても、過敏に反応して否定し議論したり、説得したりする対応は避けます。また、患者が一方的に話して話が切れない場合には、内容を要約して「これこれこういうことですね?」と伝えましょう。長時間の会話は患者の刺激となり、躁状態を悪化させる可能性があります。

看護師はチームで対応を統一して、首尾一貫した対応をできるように情報共有しましょう。

看護師によってカラーやキャラクターが違うのは仕方ないことですが、冷たすぎる対応や説得するような態度で関わると刺激になります

患者の感情を否定せず、同調できる部分には同調することで、患者が看護ケアに協力的になることもあります。

 

 

清潔行為や食事などの日常生活を調整する

躁状態の患者は、自己評価が過大になり思考や行動が誇大化する一方で、判断力が低下します。その結果日常生活動作がまとまりないものになります。

思考がまとまらず、トイレや更衣、入浴などの清潔行為ができない場合には、排泄や清潔動作が安全にしっかりできるように介助します。

暴飲暴食の場合には、多動による消費エネルギーも加味し、単純に食事量を制限せず、一回の量を減らして回数を増やしたり、間食を促したりして工夫して関わります。

お金の管理ができず浪費してしまう場合は、家族の協力のもとで調整し、現実的にお金を使えるようにします

 

 

内服の管理と副作用の確認

躁状態のときには、思考がまとまらず、病識に欠けます。基本的には治療や内服の必要性を説明が必要です。しかし、躁状態ではなかなか病識が持てないこともしばしばあります。

まずは、内服がしっかり行えているか確認します。医師の指示に基づいた気分安定薬、不眠時の頓服、鎮静薬などを与薬し、休息がとれるように関わりましょう

また過鎮静状態になっていないか、リチウム中毒をはじめとする副作用が発生していないか観察します。

気分が落ち着いてきた段階で、しっかりと内服や治療の必要性を理解してもらうための疾病教育を促していきましょう。

 

 

管理人ハチ
ここからは抑うつの症状や看護を確認していきましょう。

 

抑うつ状態ってどんな状態?

あなたは「うつだー」「気分がのらないなぁ」とおもったことはありませんか?精神科で仕事をしている私もよくそのように思います。一般の人が思う「うつだー」と、うつ病での抑うつと言われる状態とでは大きな差があります。抑うつ状態になると、自傷や自殺企図などのもっと深刻な状態になっていることも少なくありません。

医療従事者であれば、抑うつとはどのような状態なのか、どのような症状が出るのか知っておいて損はありませんよ。

 

抑うつ状態とは、躁状態とは対極に位置付けられて、気分が沈んで、身体的にも精神的にも活動性が低下し、悲観的になっている状態を言います。

 

うつ病では典型的な症状として、

  • 抑うつ状態
  • 興味や喜びの喪失
  • 易疲労性

の3つの症状が現れますが、すべての症状の根底にあるのは抑うつ状態による感情、思考、集中力、判断力の低下にあります。

 

 

抑うつ状態から見られる症状ってどんなもの?

抑うつ状態になると、患者は感情、思考、意欲や行動などのさまざま面で障害が起こります。特に、抑うつ状態になると、何かをやろうとする根源となるエネルギーが不足、枯渇した状態になります。自己への評価が低くなり、何もかもが悲観的で否定的となり、自傷や自殺などのリスクも高まります
ではうつ状態になるとどのような症状が出るのでしょうか。いかにまとめます。

  • 感情の障害:抑うつ気分
  • 思考の障害:思路障害、思考内容の障害
  • 精神運動抑制
  • 睡眠障害
  • 自傷行為、希死念慮、自殺企図

上記の症状について順番に解説していきます。

 

 

気が滅入り無気力になる抑うつ気分

「気が滅入ってしまった」「気が落ち込んでしまった」などいった患者の言葉や表現を聞いたことはありませんか?患者は抑うつ気分になるとこのような表現をして自分の気分を表現します。
抑うつ気分は、一連の流れを経て徐々に悪化していくケースがほとんどです。抑うつ気分とは、まず気分の落ち込みが現れます。抑うつ気分の患者の表情は、暗く活気がなくなり、声色や声量も小さく、力を感じられなくなります。気分の落ち込みがひどくなると、「感情が浮かんでこない」といった無感情、無感動状態になります。それがさらに悪化すると、何もできない自分への自己評価が下がり、罪業的になったり自責の念にかられたり、悲観的否定的な感情が強くなり、しまいには「自分の存在意義が感じられない」「生きている意味がないと感じる」など絶望感に苛まされるようになります。抑うつ気分は、一連の流れで悪化していきます。
抑うつ気分は日内変動があり、朝方は調子が悪く、何もやる気がでないことが多く、比較的に夕方になると気分が改善してくる傾向にあります。

 

 

考えが停滞してしまう思路障害と、悲観的自制的になる思考内容の障害

抑うつ状態になると、考えていることが前に進まずに停滞して状態になります。この状態を思路の障害と言います。思路とは、思考がある目的に向かって進んでいく過程を言います。「考えが進まない」「考えが止まってしまった」「頭がからっぽだ」といった表現をします。思路の障害と間違われるものに、観念奔逸があります。思路の障害は思考が停滞してしまう状態を指し、思考がどんどん沸いて出てくる観念奔逸とは対照的な状態です。
思考内容の障害は、悲観的になったり自責的になって、自分の存在価値が無意味なものに感じてしまう微笑妄想を呈します。「自分と関わったから不幸になった」という罪業妄想、「自分は治らない病気になってしまった」心気妄想などが微笑妄想にあたります。すべてのことを否定的悲観的にとらえてしまうという特徴があります。

 

 

何をやるのもおっくうになる精神運動抑制

何をするにもやる気が出ない状態を精神運動抑制といいます。例えば、日常生活動作が緩慢になったり、おっくうになったりして、周囲からみると「怠けている」と捉われてしまうことも多いです。患者本人はやらなければいけないと感じて必死にやっているが、やる気がでてこず時間がかかってしまうため、苦しくつらい状態とも言えます。精神運動抑制も悪化すると、意識はあるが発語することや行動することができなくなる抑うつ性昏迷という状態になることもあります。

 

 

眠りが浅くなる睡眠障害

抑うつ患者のほとんどの患者に現れる症状として、眠りが浅くなる睡眠障害です。眠りが浅くなる熟睡障害に加えて、2時や3時などに目がさめてしまう早朝覚醒や、寝入ることが困難になる入眠障害も併発することもあります。また、寝起きの気分がすぐれない気分不快感も特徴的な症状です。

 

 

絶望感や無価値観からの自傷行為、希死念慮、自殺企図

抑うつ状態でもっとも注意しなくてはいけないのが、自傷行為や希死念慮、自殺企図です。抑うつ状態になると、自己評価が著しく低下し、不安感、不満感、絶望感に苛まされ、自分の無価値観が強くなり、死にたいという気持ちになります。特に抑うつの発症初期や、抑うつ状態から回復してきて現実問題に直面した時などに、自殺企図が発生しやすくなります。

 

 

はっきりしない不定愁訴などの症状

抑うつ状態では、身体に器質的な異常がないにも関わらず、頭痛や倦怠感、易疲労感を訴える不定愁訴も特徴的な症状です。患者の不定愁訴の根底には抑うつ状態による気分の落ち込みがあり、そこから身体的な症状が現れていると感がられます。「発熱はないので異常はない」「気のせいではないか」などと無下にあつかうと、患者の抑うつ状態を悪化させる可能性もあるので、丁寧な対応が必要です。

 

 

 

抑うつの看護の観察ポイント

抑うつの看護の観察ポイントは以下のようになります。

  • 身体面:頭痛、発汗、倦怠感、易疲労感、自律神経症状、食欲、水分摂取量、体重、口渇、便秘
  • 精神面:抑うつ状態、不安、焦燥感、絶望感、自責の念、思考制止、思考抑制、微小妄想、悲観的、気分の日内変動
  • 行動面:制止、寡言、寡動、昏迷、自傷行為、自殺企図

適宜、観察ポイントを参考に、患者の抑うつ状態をアセスメントし、命の危機に瀕する自殺企図の回避が重要です。以下抑うつ患者への看護においても観察ポイントを念頭にケアを行いましょう。

 

 

抑うつ患者への看護

抑うつ患者への看護は下のようなものがあります。

  • 安心してきゅうそくできるよう環境調整
  • 抑うつ的な考え方や物事の見方を修正
  • 日常生活動作の支援
  • 自傷行為と自殺企図の予防

順番に解説します。

 

 

安心して休息できるよう環境調整

抑うつ状態にある患者は、性格的に真面目で融通がきかず何事にも全力を尽くす気質があります。努力がたりないからと考えて上手に息抜きや休息をとれていないことも多いです。

まずは、仕事のことやストレスのかかっている物理的環境から離れて、安心して休息できる環境を整えてあげましょう

また、疲れ切っている患者への「がんばろう」「元気を出そう」などの励ましは、患者の抑うつ状態を悪化させる原因となります。

家族や同僚、医療スタッフは患者の負担にならないように距離感を持って、患者の辛い気持ちや苦しい想いに寄り添うことが大切です。

 

 

抑うつでの考え方や見方を修正する

抑うつ状態になると、ネガティヴな考え方や見方にとらわれる傾向にあります。そこから抜け出せず、自責的、罪業的な思考から抜け出せなくなります。

抑うつ状態での考え方や見方を、患者自身に気づいてもらい、考え方を修正していくことが重要になる。

たとえば、自由に発言する場を提供して、患者の行動や言葉が他人を傷つけたり、悪い影響を与えないことを知ってもらえる関わりが必要です。集団療法などのグループダイナミックを利用してもいいですし、患者のエネルギーがない場合には一対一で話す場でも良いでしょう。時間がかかっても患者自身が自分の言葉で表現できるようにすることが大切です。

 

 

日常生活動作を支援する

抑うつ状態では、食事やトイレ、お風呂などの日常生活動作が不十分になります。

食事は、食事量や飲水量など客観的なデータと、患者自身が訴える症状などを加味して、患者が食べられるものを摂取してもらいましょう。間食やお菓子を利用するのもよいでしょう。

トイレなどの排泄行動は、患者の意欲低下や、抗うつ薬の副作用により、尿が出なくなったり、便秘になったりします。こちらも、腹部聴診、膨満感の確認などの客観的データと患者の訴えを加味して、トイレ促しや下剤の与薬などを検討しましょう。

お風呂や洗面、歯磨きなどの清潔行為も、気が回らない場合もあります。起きるだけでも精一杯のときもあります。ベット上で可能な範囲でやってもらうことや、できないときにはできないでも構いません。

日常生活動作ができないことで、患者が「自分のこともできないなんて」と無価値観や絶望感が増すこともあります。過度の介助は、患者の自尊心を傷つけたり、無力感を強めるため、自分でてきるところは自分でしてもらい、できないときはできないでもよいということを念頭に看護を行いましょう

 

 

自傷行為や自殺企図の予防と回避

抑うつ状態になったときは自殺念慮が強く自殺のリスクが高まります。また抑うつ状態から回復してくると現実の問題や壁に直面し自傷や自殺の行動が高まります。

患者の自殺リスクを常に観察して、死にたい気持ちや自殺しそうな気持ちが高まっているときには、危険物を除去しましょう。またうつ病をはじめとする精神疾患の影響で死にたくなっていることを伝え、病気はよくなることを伝えます自殺しないことを約束することも重要ですが、鵜呑みにしないように行動観察が大切です。

 

 

 

双極性感情障害の鬱への必須技術のTALK

希死念慮と自殺企図のリスクがある患者にはTALKの看護技術【精神科転職なら必須】

自殺予防の基本となる対応方法にTALKの原則をご存知でしょうか。

 

自殺予防、自殺再発予防にもっとも効果的なのは、真摯な態度で自殺企図や自殺について話して、患者に向き合うこと

 

患者と自殺について話しをするときに、重要となるのが、TALKの原則です。TALKの原則は下のような原則。

  • Tell:はっきりと言葉に出して「あなたのことを心配している」伝える
  • Ask:死にたいと思っているかどうか、率直に尋ねる
  • Listen:相手の絶望的な気持ちを徹底的に傾聴する。絶望的な気持ちを一生懸命受け止めて聞き役に回る
  • Keep safe:危ないと思ったら、まず本人の安全を確保して周囲の人の協力を得て、専門家のもとを受診させる

TALKの原則を順番に解説します。

 

患者の内面に焦点を当てて、真剣に話を聞く

患者の行った自傷行為や自殺企図に目が行きがちになります。

 

しかし外面に問題があるのではなく、自傷や自殺を行おうとした患者の内面に問題があるので、内面の問題に真剣に話をしましょう。

 

患者の話を真剣な姿勢で聞くことは、

  • 患者に自分のことを理解しようとしてくれてる
  • 自分は一人ではない

と安心感を持たせることになるので、真剣な姿勢で話を聞きましょう。

 

また、患者がなぜその行動に至ったのかの真意を聞くことも自殺のリスクアセスメントをする上では重要。

自殺をする具体性があるのかそれともあいまいなのかによって緊急性が異なってきます。

 

 

患者の話に耳を傾け、話題をそらさずに批判もしない。

患者が自傷や自殺企図を行った際には、無理に指示的言動やアドバイスをする必要なく、患者の言葉に耳を傾けて聞くことが大切。

つまり、

  • 自殺してはいけない
  • 自傷行為をしてはいけない

といった言葉をかけてしまいがちですが、自傷行為や自殺企図に至った経緯や心理的な負担が何だったのかを理解することが重要なんですね。

 

話をそらさずに批判もせず患者の話を聞くことで精神療法と同じ効果を得ることができます

 

 

自殺をしない約束をする

自殺をしないことを約束することは、患者のことを心配していると暗に伝える意味もあります。

 

また、自殺をしそうになった時には連絡をするなど対応を考えることもできます。

患者に自殺をしない約束を取り付けることは自殺への抑止力になります。約束を取り付けられなくても、自殺をしないよう努力することなど伝えることが大切です。

 

※自殺をしない約束をすることは、あまり効果がないという意見も聞かれます。患者によって、使い分けは必須。

 

 

根拠のない励ましはここでも禁忌

「大丈夫、大丈夫」「頑張ろう」などの根拠のない励ましは患者の焦燥感を増すだけです。

 

具体的な案がない場合には、無理な励ましは自殺のリスクを高めるだけなため禁忌です。

これは基本なので割愛しますね。

 

 

 

 

 

【まとめ】双極性感情障害を知れば精神科看護の基礎が身につく

気分障害や双極性感情障害はうつ状態と躁状態があり、看護や対応もそれぞれで異なります。

また、うつ状態では常に自殺のリスクがあることを念頭において患者の行動や言動を観察するようにしましょう。

躁状態では、統合失調症と同様で興奮や攻撃性が強いときには、複数名スタッフで対応して、患者と一定の距離をとりながら対応しましょう。

躁状態の興奮や暴力や暴言で患者に陰性感情を覚えやすいですが、暴力や暴言は病気が言わせているという意識をもって対応しましょう。

うつや躁から早期に脱却し、患者本来の性格や生活を取り戻せるよう関わっていきましょう。

 

精神科の看護をもっと知りたい人は下の記事が参考になります。

参考【2021年最新】精神科看護師転職マニュアル【仕事内容・役割・やりがい徹底解説】
参考【保存版】精神科看護師歴5年が教える精神看護の勉強法とおすすめ本を徹底解説

 

 

  • この記事を書いた人

ハチ

副業ブロガー / 現役看護師【経歴】国立大学▶︎公務員(保健師)▶︎縦社会と副業禁止で退職決意▶︎精神科看護師▶︎3サイト運営するが月1万円収益で3年ほど彷徨う▶︎培ったノウハウを駆使してhachiblog立ち上げ●嫁1太郎1姫と暮らす
>>ハチのプロフィール

-精神科看護

Copyright© ハチブロ , 2021 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.