看護技術

【看護師必見】せん妄の症状と看護を解説【観察項目と看護計画も考えよう】

2020年11月10日

【看護師必見】せん妄の症状と看護を解説

「せん妄」と一言で言われたとき、あなたはどんな症状を思い浮かべますか

 

管理人ハチ
管理人の私は精神科で看護師をしているので、せん妄と言われるとアルコール依存症の患者や薬物依存症の患者が離脱症状を起こして、興奮したり暴力暴言を起こしている状態を思い浮かべます。

 

外科病棟の看護師だと、手術を終えたばかりの患者が興奮して落ち着かない状態を思い浮かべると思いますよね。

 

また、特別養護老人ホームなどの施設に勤めている看護師は、日中まで穏やかに話をしていた認知症の患者が夕方から夜にかけて大声で叫んだり、おびえたりしている様子を思い浮かべるかもしれません。

 

「せん妄」と一言で言っても、どの分野の臨床に従事しているかでイメージは軽度~重度まで幅があることがわかります。アルコールや認知症、術後と原因もさまざまで、看護師が共通のイメージを持ちにくのも「せん妄」の特徴です。

 

✔本記事の内容

  • せん妄とは
  • せん妄の症状とはどんな状態か
  • せん妄状態になると何が危険なのか。
  • どう対応したらよいか。

今回は「せん妄」とは、「せん妄」の症状について簡単に解説していきます。

ちなみに精神科に興味のあるあなたは下の記事が参考になるかも。ぜひ一読ください。
参考【2020年版】精神科看護師への転職マニュアル【結論:ラクに看護できます】

看護のお仕事

せん妄とは

せん妄とは、中枢神経系に侵襲が起こると出現する脳器質性精神障害です。

 

さまざまな原因から急激に脳機能の失調をきたすと、脳の処理が間に合わなくなり、せん妄状態になります。

せん妄状態になると、

  • 意識混濁
  • 近時記憶障害
  • 見当識障害
  • 不眠
  • 混乱
  • 幻覚

などの症状を呈します。

 

 

せん妄の症状とはどんな状態か

せん妄の症状は、大きく分けると認知機能障害、精神障害、睡眠・覚醒リズム障害の3つがあります。3つの主な症状は以下にまとめます。

  • 認知機能障害:近時記憶の障害(遠隔記憶は比較的保たれる)、いつどこでだれがといった見当識の障害
  • 精神障害:落ち着いたと思ったら、暴れるなどの予測不可能な急激な変化、多弁・多動または無為・活動性低下、幻覚幻聴などの体験
  • 睡眠・覚醒リズム障害:不眠、夕方から夜間にかけて症状を呈する、混乱した夢や悪夢を見る

 

せん妄状態になると何が危険(リスク)なのか。

せん妄状態でもっとも危険なのは、自傷や他害の恐れがあることです。

患者はせん妄状態になると、興奮や不穏が激しく安静が保てない場合もあります。

また、興奮や不穏によりスタッフへの攻撃性が出現することもありますし、自分自身を傷つける恐れも出てきます。

 

激しいせん妄の症状が出た際には、医師と相談のうえでハロペリドールをはじめとする薬剤による鎮静を検討してもらいましょう。

その次に危険なのは、転倒・転落と点滴ルート類の自己抜去です。

術後や薬物によるせん妄は、患者にふらつきがあることがしばしば。

 

ふらつきがある場合には、必然的に転倒・転落のリスクは高くなります。また、意識混濁により目についたものへの反応性も上がります。点滴ルートや胸腔ドレーン、留置カテーテルなどルート類を混乱した状態で抜いてしまうことがあります。

 

 

看護のお仕事

せん妄が出たときにはどう対応したらよいか。

せん妄が出たときには、患者の安全確保が第一に優先されることです。

 

例えば興奮が激しい場合や安静を維持できないのであれば、できるかぎり早期に鎮静することが求められます。

 

つまるところ、薬物療法による鎮静です。

 

興奮や不穏が激しい場合には、医師と相談のうえで薬物治療を検討しましょう。興奮が激しくない場合や不安感が強い場合には、患者の生活環境の調整や、患者の話を聞き安心感を持てるように関わることが重要となります。

 

せん妄への対応は以下のようにまとめれます。

  • 薬物療法
  • 環境調整
  • ルート類の調整
  • 傾聴・声掛けにより不安感を取り除く
  • 抑制

基本的には、薬物療法で鎮静をかけることとなりますが、そのほかの対応も重要なので順番に解説していきます。

 

 

薬物療法

せん妄による興奮や不穏状態は患者それぞれで違います。

見当識障害による不安が高まり、不穏、興奮状態の患者の安全や安静を保つ意味で、早期に鎮静をかける必要があります。薬物療法によるせん妄治療は、せん妄治療ガイドラインにも乗っており、薬剤による鎮静が推奨されています。
ただ、薬物療法を行わなくても、環境調整や傾聴で症状が改善するケースも少なくありません。また、薬物療法を行わなくても数日でせん妄症状が改善することもあります。薬物療法を第一選択とせず、患者のせん妄に合わせた対応が重要です。
薬物療法には、抗精神病薬のハロペリドール、非定型抗精神病薬のリスペリドン、オランザピン、クエチアピンなど選択肢はさまざまです。医師の指示に従い施行し、薬物による副作用のふらつきの確認、EPS症状のアカシジア、パーキンソニズム、不整脈などを注意深く観察しましょう。また、内服可能なのか不可能なのかもアセスメントが重要となります。患者への侵襲は避け、なるべく経口からの内服を勧めるようにしましょう。興奮、不穏状態での筋注や静注はそれだけで患者、スタッフへのリスクが高くなります。

環境調整

転倒・転落によるリスクや器物破損のリスクを下げるために、環境調整は重要です。まず、患者のベッド周辺を整理整頓しましょう。ベッドはできる限り低くし、ベッド柵を利用し転倒・転落のリスクを下げます。また、患者の手の届く範囲に処置物品を置かないようにしましょう。特に、注射器や刃物類などは自傷他害のリスクを上げますので「一瞬だけ」と思っても患者の側を離れる際には回収してから離れましょう。夜間は真っ暗にせずに薄暗い照明にし、転倒予防をします。
せん妄では見当識障害が出現することもしばしばあります。ここはどこであるのか、今何日で何時なのかなどが患者にわかるように、カレンダーや時計などを患者の見やすい位置に置くようにしましょう。

ルート類の調整

点滴ルートや胸腔ドレーン、留置カテーテルなどのルート類は、患者の不安を増長し、自分で引っこ抜くリスクが高いです。可能であればルート類は最低限になるようにします。また、自己抜去のリスクを減らすために、患者の視界に入らないようにルート類や点滴台の位置を調整すること、自己抜去できないようしっかりと固定すること、興奮時にルート類がからまらないようゆとりをもって固定することなどが大切です。

傾聴・声掛けにより不安感を取り除く

せん妄時、患者には失見当があり、「ここがどこであるか」「今日が何日か」「なぜ入院しているのか」などがわからなくなります。患者は状況が理解できず不安で不安で仕方ないはずです。患者の訴えをよく聞き、関わるスタッフはゆったりとした声色で大きな声で話かけるようにします。抽象的な表現は避け、簡単な言葉でわかりやすく話しましょう。幻覚妄想体験に左右されている患者には、否定も説得もせず、話題を変えることや距離をとるなどしましょう。

抑制

せん妄による興奮や不穏が激しい場合や、幻覚妄想体験に左右され自傷のリスクなどがある場合には、やむを得ず抑制を必要とすることもあります。抑制は、身体的にも精神的にもストレスがかかる対応なので、安易に抑制を行わず、医師や看護師などの複数でのカンファレンスを行い慎重に抑制の検討を行います。抑制をする場合にも肺塞栓症や褥瘡などの合併症を起こさないように観察します。

 

 

せん妄と認知症の違い

せん妄は、脳器質性精神障害で、認知や精神に障害をきたすことは解説しました。臨床でも間違えられがちな認知症とは何が違うのか。

結論からいいますと、発症が急激で症状の日内変動がありせん妄の期間をすぎると元の状態に戻りうるのが「せん妄」と言えます。

  • 発症が急激
  • 症状の日内変動がある
  • 可逆的(元の精神状態に戻りうる)

実際にせん妄と認知症では、どのような違いがあるのか順番に解説していきます。これを読めば心にストンと理解できるのではないでしょうか。

発症が急激なのはせん妄!認知症はあいまい

発症が急激なのはせん妄!認知症はあいまい
せん妄は、症状が出現するスピードが急激です。また、せん妄はいつからおかしくなったかはっきりと発症の日時を言えることが多いです。
一方の認知症は、発症がいつからなのかあいまいです。そういえば数年前から忘れっぽくなったかな、そういえば何か月前に道がわからなくなったりしていたかな、といった感じで発症の時期があいまいではっきりとしません。
つまり、いつ頃から症状が現れたか、いつから普段と違う精神症状が現れたのか、はっきりわかる場合にはせん妄で、発症があいまいなものは認知症と簡単に区別することができます。

症状の日内変動が顕著なのはせん妄!

症状の日内変動が顕著なのはせん妄!
日中普通に話せていたにも関わらず、夜になると「そこに虫がはっている」「話し声が聞こえる」などと幻覚幻聴体験に左右されたり、暴言や暴力がみられるなど、せん妄は症状が明らかに日内変動があります。特に夕方から夜間にかけては顕著に症状が現れます。夜はおかしくなり、翌日になると、表情もしっかりしていて話も普通にできます。しかしまた夜になるとおかしくなるといった症状がみられる。
このように日内変動がみられるのがせん妄です。認知症では常時症状が現れているケースがほとんどです。しかし認知症の患者の中にも、夜間になると症状が現れるという患者もいると思います。そのような場合は、認知症のせん妄症状がでているのかもしれません。

せん妄は元の状態に戻りうる!

せん妄は元の状態に戻りうる!
せん妄は、せん妄の症状を呈している期間を過ぎると元の精神レベルまで戻ってくるケースがほとんどです。認知症の場合には、徐々に症状が進んでいき、失われた脳の機能は元の精神レベルまで戻ってくることは不可能です。

まとめ

せん妄と認知症の違いについて解説していきました。発症が急激で症状の日内変動がありせん妄の期間をすぎると元の状態に戻りうるのが「せん妄」、発症があいまいで日内変動がみられず元には戻らないのが認知症です。
せん妄と認知症はよく間違われることがあります。間違われる理由としては、認知症の患者がせん妄を起こして、認知症の症状が一気に悪化したように見えるため、誤診してしまうのです。患者の状態をしっかり観察すること、家族の話をよく聞くことで間違えるリスクを避けることができます。

  • この記事を書いた人

ハチ

副業ブロガー / 現役看護師【経歴】国立大学▶︎公務員(保健師)▶︎縦社会と副業禁止で退職決意▶︎精神科看護師▶︎3サイト運営するが月1万円収益で3年ほど彷徨う▶︎培ったノウハウを駆使してhachiblog立ち上げ●嫁1太郎1姫と暮らす
>>ハチのプロフィール

-看護技術

Copyright© ハチブロ , 2020 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.