看護技術

【基礎】定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬の作用機序と副作用を徹底解説

2020年11月8日

【基礎】定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬の作用機序と副作用を徹底解説

「看護師なら知っておきたいけれども、抗精神病薬ってなんだか難しいイメージがある」「定型やら非定型やら何が違うのかいまいち」「どれが強くてどれが弱い薬なのかいまいちわからん」って方も多いはず。
実際、私も精神科にいくまで抗精神病薬なんて勉強した覚えもありません。似たような名前がおおくどれがどれに聞くのかもわかりにくのが抗精神病薬です。

今回はそんな抗精神病薬の中でも先に開発が進んだ定型抗精神病薬について解説していきます。

 

看護のお仕事

抗精神病薬には定型と非定型に2種類がある

抗精神病薬には、先に開発が進んだ定型抗精神病薬と、定型抗精神病薬の副作用を少なく改良した非定型抗精神病薬の2種類があります。

ちなみに定型抗精神病薬は幻覚や幻聴、妄想といった急性期の陽性症状には効果を発揮します。しかし感情の平板化や意欲低下といった陰性症状にはあまり効果を発揮しないため、陰性症状にも効果が発揮し、ふるえや動作緩慢などのパーキンソン症状の副作用を少なくした非定型抗精神病薬が出てきました。

最近は非定型抗精神病薬が第一選択というのが一般的になってきましたが、定型抗精神病薬も急性期の陽性症状にはよく使われています。どちらが優れているということではなく、患者それぞれで適したお薬は違うので、精神科の医師はそれぞれの患者にあったお薬で調整していきます。定型・非定型ともに錠剤タイプもあればデポ剤タイプ(注射の持続性抗精神病薬)、OD錠(口ですぐに溶ける錠剤)などさまざまな形があります。

 

 

定型抗精神病薬とは

統合失調症をはじめとする精神疾患は、ドーパミンの過剰分泌によって幻覚、妄想といった陽性症状が現れることは何度も触れました。陽性症状を発生させているドーパミンの受容体の働きを遮断して症状を抑える作用があるのが、定型抗精神病薬です。(非定型抗精神病薬も同じ作用があります。)
日本では1955年にクロルプロマジンが治療に使われるようになりました。今まではいわば家庭内で監禁して社会の目から遠ざけられていた精神疾患を、薬で治す時代となったのです。
定型抗精神病薬には幻覚や妄想を抑える働きがある薬、興奮や落ち着きのなさを鎮静させる薬、意欲低下を活動的にさせる薬の3つに分けることができます。

幻覚や妄想を抑えるセレネース

統合失調症の陽性症状として、幻覚や妄想はつきものです。その幻覚や妄想を強く抑える効果があるのが、セレネースをはじめとする定型抗精神病薬です。幻覚や妄想に強く聞くため、使用後は徐々に症状が治まっていき、症状自体が消失することもあります。しかし、陽性症状に強く聞くということは、ドーパミンの作用も強く抑えることになります。その結果、運動性の副作用がしばしば現れるため、抗パーキンソン薬(アキネトンなど)と一緒に使用されるケースが多いです。というかほとんどです。

急性期の強い幻覚や妄想状態には、このタイプの薬を増量して休息がとれるようにします。そして急性期の症状が落ち着いてくれば徐々にお薬の量を減らしていきます。急性期の症状が良くなってきたかの指標としては、まとまりのある会話ができるか、睡眠が十分にとれているかなどです。

イライラや興奮を鎮静させるヒルナミン

幻覚や妄想の症状で興奮したり、症状は落ち着いてきたもののイライラ感が止まらない場合には、鎮静作用のあるヒルナミンやコントミンといった興奮を抑える定型抗精神病薬を使用しています。幻覚や幻聴、妄想にも一定の効果はありますが、イライラや興奮を鎮静させることで休息を促す意味で使用することが多いように感じます。こちらのタイプも、急性期には増量して、急性期を脱したところで徐々に量を減らしていくパターンです。

陰性症状から活動的にするドグマチール

統合失調症の意欲低下や感情の平板化といった陰性症状に効果を表すのがドグマチールをはじめとする定型抗精神病薬です。臨床ではあまり使われている印象はありませんが、少ない量では活動性を活動性を高め、量がおおければ精神症状に有効なお薬です。

 

 

管理人ハチ
「定型やら非定型やら何が何やらわからんという人も少なくないと思います。」

そんなみなさんのために今回は非定型抗精神病薬について解説します。

非定型抗精神病薬とは

定型抗精神病薬は、神経伝達物質のドーパミンの分泌を調整して、幻覚や幻聴といった陽性症状に作用します。

非定型抗精神病薬は、ドーパミンだけでなく、セロトニンをはじめとするその他の神経伝達物質にも作用して、パーキンソン症状やアカシジア、ジストニアなどの副作用を少なくするよう改良したものです。定型抗精神病薬は、陽性症状にしか効かないのに対して、非定型抗精神病薬は感情の平板化や意欲低下といった陰性症状、うつ症状にも効果を示します。

非定型抗精神病薬は、その大きく分けてSDA、MARTA、DSSの3つに分類することができます。

次項で、非定型抗精神病薬の3つについて詳しく解説していきます。

ドーパミンとセロトニン両方に作用するSDA

定型抗精神病薬は、ドーパミンの受容体をブロックすることで、ドーパミンの効果を弱くする効果があります。そのため陽性症状には効果を示す一方で、陰性症状については効果を示しません。また、ドーパミンを過度に抑えつけるため、パーキンソン症状をはじめとする運動系の副作用も出現することが問題とされてきました。

非定型抗精神病薬のSDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)は、ドーパミンだけでなく、セロトニンの受容体もブロックすることで、パーキンソン症状、アカシジアやジストニアなどのEPS症状が出にくいよう工夫されたお薬です。ただ、ドーパミンの働きを抑えるのは変わらないため、定型抗精神病薬に比べれば、運動系の副作用は出にくいというだけで、他の非定型抗精神病薬に比べて、運動系の副作用は出やすい傾向にあります。適宜抗パーキンソン薬などと併用して使われます。

リスペリドンには、効果が2週間持続する注射タイプのデポ剤と口の中ですぐに溶けるタイプのOD錠とさまざまなタイプがあります。患者の個別性に合わせて使い分けることが可能です。

SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)の種類
  • リスペリドン(商品名:リスパダール)
  • ペロフピロン(商品名:ルーラン)
  • ブロナンセリン(商品名:ロナセン)

さまざまな神経伝達物質に作用するMARTA

ドーパミン、セロトニンに加えて、アセチルコリン、ヒスタミン、ノルアドレナリンなどさまざまな神経伝達の受容体をブロックすることで、神経伝達の効果を抑えるのが、MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)です。

定型抗精神病薬やSDAに比べて運動系の副作用はほとんどなく、陽性症状にも陰性症状にも一定の効果をMARTAは認めます。一方で、体重増加や脂質異常、耐糖能異常などの代謝系の副作用が出るのが大きな特徴です。

難治性の統合失調症にも効果があると言われているクロザリルもMARTAに分類されます。自殺危険度が高い患者や治療効果がなかなか出ない患者には選択されるクスリです。しかし、処方できる医師は、クロザリル登録医師に限られます。

また重篤な副作用が出現するリスクも高いため慎重に観察をする必要があります。

MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)の種類
  • オランザピン(商品名:ジプレキサ)
  • クエチアピン(商品名:セロクエル)
  • クロザピン(商品名:クロザリル)

ドーパミンが過剰なところと不足していところ両方に効くDSS

ドーパミンの作用が過剰なところではドーパミン受容体をブロックしてドーパミンの作用を抑え、ドーパミンが不足しているところではドーパミンの作用を強める効果があるのが、DSS(ドーパミン系安定剤)です。

ドーパミンの作用を調整するので、陽性症状にも陰性症状にも効果があります。こちらもSDAに比べれば運動系の副作用は少ないですが、不眠やソワソワ感、胃腸症状を呈します。

DSS(ドーパミン系安定剤)の種類
アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)
看護のお仕事

まとめ

陽性症状に強く作用する定型抗精神病薬について簡単に解説をしました。
定型抗精神病薬は、運動性の副作用や、高プロラクチン血症などを引き起こす副作用が出ます。副作用よりも主作用を優先して使われますが、看護師としては副作用がどのくらいでているかなども観察して記録や主治医へ伝えれるとベストですね。

 

非定型抗精神病薬について解説しました。定型抗精神病薬にくらべて、副作用が少ない反面、代謝系の副作用が現れる可能性があります。日々の副作用の観察や、薬効も患者それぞれで異なりますので、毎日の変化を適宜主治医やチームで相談しながら対応することが重要です。

  • この記事を書いた人

ハチ

副業ブロガー / 現役看護師【経歴】国立大学▶︎公務員(保健師)▶︎縦社会と副業禁止で退職決意▶︎精神科看護師▶︎3サイト運営するが月1万円収益で3年ほど彷徨う▶︎培ったノウハウを駆使してhachiblog立ち上げ●嫁1太郎1姫と暮らす
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