精神科看護

【基礎】定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬の作用機序と副作用を徹底解説

【基礎】定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬の作用機序と副作用を徹底解説
  • 「定型やら非定型やら何が違うのかいまいち」
  • 「どれが強くてどれが弱い薬なのかいまいちわからん」
  • 「看護師なら知っておきたいけれども、抗精神病薬ってなんだか難しいイメージがある」

って方も多いですよね。

実際、私も精神科にいくまで抗精神病薬なんて勉強した覚えもありません。似たような名前がおおくどれがどれに聞くのかもわかりにくのが抗精神病薬です。

 

 

今回はそんな精神科看護師歴5年の管理人が抗精神病薬の定型と非定型の抗精神病薬をまとめて解説していきます。

精神科ブロガーハチの紹介文

 

 

精神科の看護をもっと知りたい人は下の記事が参考になります。

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看護のお仕事

抗精神病薬には定型と非定型に2種類がある

抗精神病薬には、先に開発が進んだ定型抗精神病薬と、定型抗精神病薬の副作用を少なく改良した非定型抗精神病薬の2種類があります。

ちなみに定型抗精神病薬は幻覚や幻聴、妄想といった急性期の陽性症状には効果を発揮します。しかし感情の平板化や意欲低下といった陰性症状にはあまり効果を発揮しないため、陰性症状にも効果が発揮し、ふるえや動作緩慢などのパーキンソン症状の副作用を少なくした非定型抗精神病薬が出てきました。

最近は非定型抗精神病薬が第一選択というのが一般的になってきましたが、定型抗精神病薬も急性期の陽性症状にはよく使われています。どちらが優れているということではなく、患者それぞれで適したお薬は違うので、精神科の医師はそれぞれの患者にあったお薬で調整していきます。定型・非定型ともに錠剤タイプもあればデポ剤タイプ(注射の持続性抗精神病薬)、OD錠(口ですぐに溶ける錠剤)などさまざまな形があります。

 

 

定型抗精神病薬とは

統合失調症をはじめとする精神疾患は、ドーパミンの過剰分泌によって幻覚、妄想といった陽性症状が現れることは何度も触れました。陽性症状を発生させているドーパミンの受容体の働きを遮断して症状を抑える作用があるのが、定型抗精神病薬です。(非定型抗精神病薬も同じ作用があります。)
日本では1955年にクロルプロマジンが治療に使われるようになりました。今まではいわば家庭内で監禁して社会の目から遠ざけられていた精神疾患を、薬で治す時代となったのです。
定型抗精神病薬には幻覚や妄想を抑える働きがある薬、興奮や落ち着きのなさを鎮静させる薬、意欲低下を活動的にさせる薬の3つに分けることができます。

幻覚や妄想を抑えるセレネース

統合失調症の陽性症状として、幻覚や妄想はつきものです。その幻覚や妄想を強く抑える効果があるのが、セレネースをはじめとする定型抗精神病薬です。幻覚や妄想に強く聞くため、使用後は徐々に症状が治まっていき、症状自体が消失することもあります。しかし、陽性症状に強く聞くということは、ドーパミンの作用も強く抑えることになります。その結果、運動性の副作用がしばしば現れるため、抗パーキンソン薬(アキネトンなど)と一緒に使用されるケースが多いです。というかほとんどです。

急性期の強い幻覚や妄想状態には、このタイプの薬を増量して休息がとれるようにします。そして急性期の症状が落ち着いてくれば徐々にお薬の量を減らしていきます。急性期の症状が良くなってきたかの指標としては、まとまりのある会話ができるか、睡眠が十分にとれているかなどです。

イライラや興奮を鎮静させるヒルナミン

幻覚や妄想の症状で興奮したり、症状は落ち着いてきたもののイライラ感が止まらない場合には、鎮静作用のあるヒルナミンやコントミンといった興奮を抑える定型抗精神病薬を使用しています。幻覚や幻聴、妄想にも一定の効果はありますが、イライラや興奮を鎮静させることで休息を促す意味で使用することが多いように感じます。こちらのタイプも、急性期には増量して、急性期を脱したところで徐々に量を減らしていくパターンです。

陰性症状から活動的にするドグマチール

統合失調症の意欲低下や感情の平板化といった陰性症状に効果を表すのがドグマチールをはじめとする定型抗精神病薬です。臨床ではあまり使われている印象はありませんが、少ない量では活動性を活動性を高め、量がおおければ精神症状に有効なお薬です。

 

 

管理人ハチ
「定型やら非定型やら何が何やらわからんという人も少なくないと思います。」

そんなみなさんのために今回は非定型抗精神病薬について解説します。

非定型抗精神病薬とは

定型抗精神病薬は、神経伝達物質のドーパミンの分泌を調整して、幻覚や幻聴といった陽性症状に作用します。

非定型抗精神病薬は、ドーパミンだけでなく、セロトニンをはじめとするその他の神経伝達物質にも作用して、パーキンソン症状やアカシジア、ジストニアなどの副作用を少なくするよう改良したものです。定型抗精神病薬は、陽性症状にしか効かないのに対して、非定型抗精神病薬は感情の平板化や意欲低下といった陰性症状、うつ症状にも効果を示します。

非定型抗精神病薬は、その大きく分けて

  • SDA
  • MARTA
  • DSS

の3つに分類することができます。

次項で、非定型抗精神病薬の3つについて詳しく解説していきます。

ドーパミンとセロトニン両方に作用するSDA

定型抗精神病薬は、ドーパミンの受容体をブロックすることで、ドーパミンの効果を弱くする効果があります。そのため陽性症状には効果を示す一方で、陰性症状については効果を示しません。また、ドーパミンを過度に抑えつけるため、パーキンソン症状をはじめとする運動系の副作用も出現することが問題とされてきました。

非定型抗精神病薬のSDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)は、ドーパミンだけでなく、セロトニンの受容体もブロックすることで、パーキンソン症状、アカシジアやジストニアなどのEPS症状が出にくいよう工夫されたお薬です。ただ、ドーパミンの働きを抑えるのは変わらないため、定型抗精神病薬に比べれば、運動系の副作用は出にくいというだけで、他の非定型抗精神病薬に比べて、運動系の副作用は出やすい傾向にあります。適宜抗パーキンソン薬などと併用して使われます。

リスペリドンには、効果が2週間持続する注射タイプのデポ剤と口の中ですぐに溶けるタイプのOD錠とさまざまなタイプがあります。患者の個別性に合わせて使い分けることが可能です。

SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)の種類
  • リスペリドン(商品名:リスパダール)
  • ペロフピロン(商品名:ルーラン)
  • ブロナンセリン(商品名:ロナセン)

さまざまな神経伝達物質に作用するMARTA

ドーパミン、セロトニンに加えて、アセチルコリン、ヒスタミン、ノルアドレナリンなどさまざまな神経伝達の受容体をブロックすることで、神経伝達の効果を抑えるのが、MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)です。

定型抗精神病薬やSDAに比べて運動系の副作用はほとんどなく、陽性症状にも陰性症状にも一定の効果をMARTAは認めます。一方で、体重増加や脂質異常、耐糖能異常などの代謝系の副作用が出るのが大きな特徴です。

難治性の統合失調症にも効果があると言われているクロザリルもMARTAに分類されます。自殺危険度が高い患者や治療効果がなかなか出ない患者には選択されるクスリです。しかし、処方できる医師は、クロザリル登録医師に限られます。

また重篤な副作用が出現するリスクも高いため慎重に観察をする必要があります。

MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)の種類
  • オランザピン(商品名:ジプレキサ)
  • クエチアピン(商品名:セロクエル)
  • クロザピン(商品名:クロザリル)

ドーパミンが過剰なところと不足していところ両方に効くDSS

ドーパミンの作用が過剰なところではドーパミン受容体をブロックしてドーパミンの作用を抑え、ドーパミンが不足しているところではドーパミンの作用を強める効果があるのが、DSS(ドーパミン系安定剤)です。

ドーパミンの作用を調整するので、陽性症状にも陰性症状にも効果があります。こちらもSDAに比べれば運動系の副作用は少ないですが、不眠やソワソワ感、胃腸症状を呈します。

DSS(ドーパミン系安定剤)の種類
アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)

 

看護のお仕事

抗精神病薬の副作用の錐体外路症状とは

抗精神病薬の副作用と錐体外路症状を解説【アカシジア、ジストニア、ジスキネジアって何?】

悩む看護師
抗精神病薬の副作用ってアカシジアとかジストニアとか横文字でなんだかよくわからない。
あと、抗精神病薬の副作用とか、錐体外路症状?どこの症状なのかどういう作用で副作用でてるのかイマイチわからないんだよなぁ。

 

抗精神病薬は副作用が強いという印象を持っている方もお多いでしょうが、その印象で間違いはありません。

抗精神病薬は、幻覚や妄想といった統合失調症の陽性症状に効果を示す一方で、身体のさまざまな部位におかしな動きなどを指せる副作用が出ます。このような症状を錐体外路症状といいます。

錐体外路とは、大脳皮質から始まる神経経路の一つで、筋肉の伸び縮みや身体がスムーズに動くように調整する運動系の神経中枢です。

錐体外路症状とは、錐体外路を障害するため、身体を思うように動かくなったり、意識もしていないのに勝手に動いたりといった症状を言います。

 

 

錐体外路症状は下のとおり。

  • 手の震えや動作緩慢といったパーキンソン症状
  • じっとしていられないアカシジア症状
  • 顔や身体が硬直するジストニア症状
  • 自分の意志とは違うところが動く遅発性ジスキネジア症状

これらの症状について順番に解説します。

手の震えや動作緩慢のパーキンソン症状

パーキンソン症状は、パーキンソン病に似た症状が現れるためそのように呼ばれています。

 

パーキンソン病は、ドーパミンの分泌が不足する病気です。抗精神病薬はドーパミンの働きを抑えるため、パーキンソン病と似た症状が現れます。

パーキンソン症状とは、

  • 手や指先がふるえる
  • 筋肉が硬くなってうまく動かせない
  • 硬直する
  • よだれがとまらなくなる
  • 仮面をつけたように無表情になる

といった症状を言います。

 

抗精神病薬の量が多く、ドーパミンの働きを過度に抑えつけるとこのような症状が現れます。

 

 

じっとしていられないアカシジア

アカシジアとは、「静座不能」とも言われ、じっとしていられなくなる症状です。

 

臨床で一番多いのはアカシジアでしょう。

 

人によってその症状はさまざまですが、

  • 足がムズムズして足踏み
  • あちこちを歩き回る
  • 寝ていても手足がそわそわやムズムズが止まらない

といった落ち着かない状態となります。

 

抗精神病薬の代表的な症状の一つですが、お薬への不信感や今後に対する不安感など精神的に不安定なときにも症状が悪化します。

 

抗精神病薬を飲んでいてアカシジア症状が現れる場合には、当然お薬の調整をしてもらう必要はありますが、それ以外にも精神的なフォローも大切となります。

 

 

首がひきつったり、話しづらくなるジストニア

ジストニア症状とは、

  • 首の筋肉が収縮・硬直して片側に傾いてしまう
  • 目の動きを調整する筋肉が収縮して目が上を向いてしまう(眼球上転)
  • 舌の筋肉の収縮や動きの調整がうまくできず話しづらくなる

といった症状を言います。

 

筋肉が不自然な収縮をするためてんかん発作と勘違いされがちで、患者本人や家族が必要異常にショックや心配をしてしまいます。

 

抗精神病薬による副作用であるため一過性のもので、お薬を調整することで元に戻ります。

 

 

動かそうとしていない場所が動く遅発性ジスキネジア

遅発性ジスキネジア症状とは、動かそうと意識をしていない部位が勝手に収縮して動いてしまう症状を言います。

 

よくみられる遅発性ジスキネジア症状としては、口を動かそうとしたり話そうとしていないにも関わらず、口がモゴモゴ、もぐもぐと無意識に動いてしまう症状です。

 

また、手や足先が勝手に動いたりといった症状もジスキネジア症状として見られます。

 

 

 

定型抗精神病薬の作用のイメージ

脳内にある神経細胞の間では、「手を動かせー」「歩けー」といった命令を伝える神経伝達物質が行き来しています。

 

その中でも統合失調症などの精神疾患に強く関係しているのが「ドーパミン」という神経伝達物質。

 

 

ドーパミンは、人間が生きていくうえで重要である、意欲や快感、注意力、判断力、注意力を調整しています。そのためドーパミンが過剰に分泌されることで、統合失調症をはじめとする精神疾患では幻覚や妄想といった陽性症状が現れます。

過剰に分泌されたドーパミンの作用を抑えるのが抗精神病薬です。抗精神病薬は神経細胞の間でドーパミンを受け取る「ドーパミン受容体」に蓋をしてドーパミンを受け取れなくすることでドーパミンの作用を抑えています。

ドーパミン受容体がドーパミンを受け取れなくするため、統合失調症の陽性症状の幻覚や妄想を抑えることができます。

 

しかし上で説明したドーパミン受容体に蓋をしてドーパミンの働きを抑えるということは、錐体外路を障害します。錐体外路が障害されると、身体の動きを調整したり、身体の筋肉の収縮や伸展も妨げてしまいます。

 

 

 

まとめ

陽性症状に強く作用する定型抗精神病薬について簡単に解説をしました。
定型抗精神病薬は、運動性の副作用や、高プロラクチン血症などを引き起こす副作用が出ます。副作用よりも主作用を優先して使われますが、看護師としては副作用がどのくらいでているかなども観察して記録や主治医へ伝えれるとベストですね。

 

非定型抗精神病薬について解説しました。定型抗精神病薬にくらべて、副作用が少ない反面、代謝系の副作用が現れる可能性があります。日々の副作用の観察や、薬効も患者それぞれで異なりますので、毎日の変化を適宜主治医やチームで相談しながら対応することが重要です。

 

精神科の看護をもっと知りたい人は下の記事が参考になります。

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ハチ

副業ブロガー / 現役看護師【経歴】国立大学▶︎公務員(保健師)▶︎縦社会と副業禁止で退職決意▶︎精神科看護師▶︎3サイト運営するが月1万円収益で3年ほど彷徨う▶︎培ったノウハウを駆使してhachiblog立ち上げ●嫁1太郎1姫と暮らす
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